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[SSS33-13] コサイスミックな内部応力変化の理論計算-丸い地球の場合
キーワード:内部応力変化, 球対称地球, 点震源, 成層構造
地震によって生じる応力変化などの内部変形は、一様半無限弾性体モデルについてはOkada (1992) によってシンプルかつ完全な形で示された。この一様半無限媒質モデルは、例えば、地震間の「相互作用」を考える上での指標を与えるΔCFFの計算に用いられるなど、現在幅広い研究で使われており、地震の理解に貢献してきた。一方、巨大地震に伴う広範囲な応力変化などのグローバルな変形は、より現実的な地球モデルである球対称モデルで計算する必要がある。Sun and Okubo (1993) は球対称モデルで、点震源によって生じる地表の変位や重力変化の計算に成功した。しかし、内部の応力や変位については、球対称モデルで計算された例はない。それは、原理的な方法は示されているものの(Takeuchi and Saito, 1972)、実際に計算しようとすると困難が生じるためである。そこで本研究では、球対称モデルで、点震源によって生じる内部変形を計算する手法を提案し、実際に計算を行った。本講演では、以下の点について述べる。i) 内部変形を計算するための手法の概説。ii) 解析解が分っている一様半無限媒質の結果と本研究で計算された一様球の結果との比較。iii) PREMのような成層構造モデルでの計算結果。一様球と一様半無限媒質の結果を詳細に比較すると(ii)、例えば、深さ32kmの横ずれ断層によって生じる鉛直方向の垂直応力では、両者の差が10%になる角距離は、観測の深さが10km、20km、30kmでそれぞれ4度、5度、6.5度であることが分った(図)。4度はおおよそ400kmであり、東北地方太平洋沖地震の断層の長さに相当する。図.一様球と一様半無限媒質との差。深さ32kmの横ずれ断層によって生じる鉛直方向の垂直応力変化を比較した。横軸が震央距離、縦軸がモデル間の差(%)である。赤、緑、青はそれぞれ観測点の深さが10、20、30kmを表す。