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[SSS33-15] 揚水・湧水により発生する断層の動きと間隙弾性体による理解 -東濃地震科学研究所地域のNNW断層の場合 -
キーワード:深部ボアホール観測, 揚水・湧水と断層運動, 地下水流動, 間隙弾性体による理解, 連続観測応力計
東濃地震科学研究所では深部ボアホールで連続観測可能な総合観測装置や応力計を開発している。現在、研究所周辺の10km四方の地域に約15カ所の深部ボアホール観測を実施し、地殻変動や地下水の振る舞いなどを調べている。最も深いボアホールの深度は1030mである。 東濃地震科学研究所の近くでは原子力研究開発機構(JAEA)が直径6.5mと4.5mのそれぞれ主立坑と換気立坑を掘削しており、現在深度500mに達している。両立坑は40m離れており、立坑はステージと呼ばれる横坑で繋がっている。この立坑の近くには右横ずれのNNW断層が存在している。 地下水の変動と地球物理学的観測量との関連を実験や発生した現象を利用して調べている。それらは(1)断層近くのボアホールにおいて揚水実験を行いボアホール観測点における歪変化や水位変化を観測・解析した。(2)立坑において大規模な湧水が発生した時のボアホール観測点における歪変化や水位変化を観測・解析した。その結果以下のような結果が得られた。1. 立坑内における湧水や近傍のボアホールにおける揚水実験によりTGR350孔の水位は低下するが深度350mに設置された歪計はNNW断層が右横ずれの動きをするような観測結果を示した。2.湧水の止水や揚水後のTGR350孔の水位の上昇に伴って深度350mに設置された歪計はNNW断層が左横ずれの動きをするような観測結果を示した。3.堆積層に設置した伸縮計や浅い深度(深度165m)に設置した歪計は断層運動などを反映したデータを示さない。4.間隙弾性体としての理解に基づいてこの地域の地下水流動とそのメカニズムを説明できる一つのモデルを考察した.観測と解析結果の詳細を報告する。