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[SSS33-16] 正馬様地殻活動総合観測点の整備 -石井式ボアホール応力計の埋設・設置-
キーワード:間隙水圧変化, 弾性変形, 瑞浪超深地層研究所, 石井式ボアホール応力計
1.はじめに 瑞浪超深地層研究所(MIU)の立坑や調査孔の掘削に伴う大量湧水の発生と調査孔における水理試験によって、亀裂性岩盤である土岐花崗岩中の間隙水圧に大きな変動が生じている。この水圧変動が原因となってMIUから約0.5km範囲内に位置する戸狩観測点(TGR350,TGR165)と研究所観測点(TRIES)およびMIU立坑内観測点(STG100,STG200,STG300)では、地殻応力・歪・傾斜、地下水位・水圧の連続観測記録に地球潮汐変化の100倍以上の変化が記録されている(例えば浅井・石井,JPGU2013)。MIUの近傍には北北西走向のほぼ垂直変位の地質断層がある。変化の特徴は、断層の南西側で間隙水圧変化が生じると、そのインパクトは同領域の観測点の水位/水圧記録にみられ、かつ、応力、歪、傾斜記録にもみられる。一方、断層の北東側の観測点ではその影響は水位・水圧観測に見られないが、応力、歪、傾斜記録に見られる。断層の北東側で水圧変化が生じる場合でも同様である。この観測結果は、断層は遮水性を持つが、間隙水圧変化によって生じた岩盤の弾性変形は断層に関係なくその周囲に及んでいることを示している。2.観測点整備の目的 MIUの北西約1kmに既存の正馬様観測点ボアホール(SBS110;深度110m孔)がある。SBS110の地下水位記録にはMIU近傍で見られるような水圧変動の影響が見られない。しかしながら、水圧変動に伴う地殻応力・歪変化が正馬様に及んでいるかどうかは、地殻応力・歪の観測を行っていないため不明であった。MIU立坑掘削の影響がどのように、かつ、どの範囲まで及んでいるかの調査・研究を行うことを目的として、東濃地震科学研究所は、2013年12月に正馬様観測点に新規100m深ボアホールの掘削を開始、2014年2月3日現在整備を進めている。2月中には当研究所で開発した石井式ボアホール応力計をボアホール孔底付近の岩盤状態の良い個所に埋設・設置し連続観測を開始する予定である。 講演では観測点整備の概要と最新の観測記録についての議論を行う。