18:15 〜 19:30
[SSS34-P04] 断層破砕帯の性状観察に基づく断層活動性評価手法の検討 - 2.断層面の形態観察,硬さと色調の評価 -
キーワード:活断層, 断層活動性評価, 六甲山地, 五助橋断層, 六甲断層, 断層破砕帯
著者らは基盤岩中の破砕帯の性状観察・分析をもとにした断層活動性評価手法の確立を目標として,活断層露頭と非活断層露頭での断層破砕帯の比較調査を行っている.調査地点は兵庫県南部,六甲山地に分布する活断層である五助橋断層の五助ダム上流地点(以下,GSB),六甲断層の船坂西地点(以下,FSW),及び高位段丘に覆われており活断層ではないと考えられる六甲蓬莱峡の断層(以下,HRK)の3ヶ所である(亀高ほか,2014,連合大会予稿集).本報告では,主に露頭において簡便に実施できる調査方法に着目し,断層面の形態観察(連続性・平面性など),ならびに原位置試験として破砕帯の硬さ及び色調の評価について,それぞれの手法の妥当性を検討した結果を報告する.
活断層の最近活動した断層面は,他の構造を切って連続的・平面的に分布することが定性的に期待される.これを断層面の形態観察によって,より客観的・定量的に評価するために,1)破砕組織相互の切断関係の評価,2)連続性の評価,3)平面性の評価,4)ISRM指針(岩の力学連合会,1985,ISRM指針)を用いた断層面の半定量的な評価,5)オルソ化した写真をもとにした算術平均粗さの検討を実施した.その結果,GSBとFSWでは隣接する組織を切断する区間が長く,かつ連続性が良いのに対し,HRKでは隣接する組織を切断する区間が短く,かつ断層面が途切れる区間が識別された.平面性については,GSBとHRKでは期待通りの結果であったが,FSWでは地表部での変質作用と推定される組織のために,平面的に連続しない区間もみられた.また,基盤岩中の破砕帯の断層面に比べて,礫層と破砕帯が接する部分の断層面は平面性が悪くなった.算術平均粗さの検討では平面性の定量化に成功したが,露頭の整形や断層面認定にやや課題が残っている.
活断層のガウジは軟質であり,活動的でない断層の破砕帯は固結して硬いということが定性的に言われている(木村,1981,応用地質).破砕帯の硬さを定量化するために,軟岩ペネトロ計を用いた原位置試験(針貫入試験)を各破砕帯で実施し,破砕帯の硬さと断層活動性の関係について検討した.その結果,GSB,FSW及びHRKではともにガウジの硬さは0 kN/m2であり,破砕帯による明瞭な差異は認められなかった.地表付近の測定結果では,FSWの変質の進んだカタクレーサイトやHRKのマサ化の進んだ弱破砕花崗岩も低い値を示すが,20cm程度露頭を掘り込むと数値が高くなる傾向がある.一方で,断層ガウジは露頭を掘り込んでも低い値を示す傾向がみられた.
活断層のガウジは還元的な色調を呈し,活動的でない断層のガウジは酸化的な色調を呈することが指摘されている(産業技術総合研究所深部地質環境研究コア,2012,GSJ研究資料集).破砕帯の色調について,原位置試験として土色計を用いて各破砕部の色調を定量化し,破砕帯の色調と断層活動性の関係について検討した.その結果,GSBのガウジはLabカラーのa*値が-5.0~5.0程度,b*値が0.0~15.0程度の還元的な値を示している.これに対してFSWのガウジのa*値は10.0~15.0程度,b*値は35程度と非常に高い酸化的な値を示している.一方,HRKのガウジはa*値が-5.0~10.0程度,b*値が5.0~20.0程度と幅広く,還元的からやや酸化的な値を示した.ガウジ周辺の破砕部は,非変形花崗岩の値とガウジの値を繋ぐように分布する場合が多く,全体として右上がりの直線状に配列し,花崗岩の風化による色調変化に対応した分布を示していると考えられる.
本発表では以上の結果について,根拠となる具体的なデータを示すとともに,活動性評価の観点からそれぞれの手法の妥当性や留意点などについて報告する.
活断層の最近活動した断層面は,他の構造を切って連続的・平面的に分布することが定性的に期待される.これを断層面の形態観察によって,より客観的・定量的に評価するために,1)破砕組織相互の切断関係の評価,2)連続性の評価,3)平面性の評価,4)ISRM指針(岩の力学連合会,1985,ISRM指針)を用いた断層面の半定量的な評価,5)オルソ化した写真をもとにした算術平均粗さの検討を実施した.その結果,GSBとFSWでは隣接する組織を切断する区間が長く,かつ連続性が良いのに対し,HRKでは隣接する組織を切断する区間が短く,かつ断層面が途切れる区間が識別された.平面性については,GSBとHRKでは期待通りの結果であったが,FSWでは地表部での変質作用と推定される組織のために,平面的に連続しない区間もみられた.また,基盤岩中の破砕帯の断層面に比べて,礫層と破砕帯が接する部分の断層面は平面性が悪くなった.算術平均粗さの検討では平面性の定量化に成功したが,露頭の整形や断層面認定にやや課題が残っている.
活断層のガウジは軟質であり,活動的でない断層の破砕帯は固結して硬いということが定性的に言われている(木村,1981,応用地質).破砕帯の硬さを定量化するために,軟岩ペネトロ計を用いた原位置試験(針貫入試験)を各破砕帯で実施し,破砕帯の硬さと断層活動性の関係について検討した.その結果,GSB,FSW及びHRKではともにガウジの硬さは0 kN/m2であり,破砕帯による明瞭な差異は認められなかった.地表付近の測定結果では,FSWの変質の進んだカタクレーサイトやHRKのマサ化の進んだ弱破砕花崗岩も低い値を示すが,20cm程度露頭を掘り込むと数値が高くなる傾向がある.一方で,断層ガウジは露頭を掘り込んでも低い値を示す傾向がみられた.
活断層のガウジは還元的な色調を呈し,活動的でない断層のガウジは酸化的な色調を呈することが指摘されている(産業技術総合研究所深部地質環境研究コア,2012,GSJ研究資料集).破砕帯の色調について,原位置試験として土色計を用いて各破砕部の色調を定量化し,破砕帯の色調と断層活動性の関係について検討した.その結果,GSBのガウジはLabカラーのa*値が-5.0~5.0程度,b*値が0.0~15.0程度の還元的な値を示している.これに対してFSWのガウジのa*値は10.0~15.0程度,b*値は35程度と非常に高い酸化的な値を示している.一方,HRKのガウジはa*値が-5.0~10.0程度,b*値が5.0~20.0程度と幅広く,還元的からやや酸化的な値を示した.ガウジ周辺の破砕部は,非変形花崗岩の値とガウジの値を繋ぐように分布する場合が多く,全体として右上がりの直線状に配列し,花崗岩の風化による色調変化に対応した分布を示していると考えられる.
本発表では以上の結果について,根拠となる具体的なデータを示すとともに,活動性評価の観点からそれぞれの手法の妥当性や留意点などについて報告する.