18:15 〜 19:30
[SSS34-P13] 高田平野南方、妙高火山群東麓周辺の変動地形とそのテクトニックな意義
キーワード:高田平野, 活断層, 空中写真, 妙高火山群, 高田平野東縁断層
妙高火山群は高田平野の南方に位置し、その東麓地域は、西頸城山地と東頸城丘陵に挟まれた南北走向の細長い凹地帯(妙高凹地帯と仮称)をなしている。妙高凹地帯は高田平野の南方に連続し、野尻湖付近を経て長野盆地付近まで延びる。高田平野の東西縁には高田平野東縁断層と高田平野西縁断層が、長野盆地の西縁には長野盆地西縁断層が発達し、盆地と山地・丘陵の地形境界を形成したと考えられている(中田・今泉編,2002など)。今回、詳細な空中写真判読の結果、妙高凹地帯周辺において新たに断層変位地形が発見され、高田平野東縁断層がさらに南方へ延長する可能性が高いことが明らかとなった。本発表では、それらのトレースの位置と活断層の認定根拠を詳細に記載し、分布の特徴やテクトニックな意義について若干の考察を行う。
妙高凹地帯北部の妙高市葎生(もくろ)付近では、低位段丘面を変位させる東上がりの明瞭な低断層崖および段丘面の東方への傾動が認められる。この低断層崖をほぼ垂直に横切る北沢川などの小河川沿いの沖積面は、低断層崖の下流側で下刻が進み段丘化している。この低断層崖は北方の高床山の西縁の直線的な山麓線に連続しているが、一部で段丘面の傾動がみられることから、高床山の西縁沿いに活断層が延びていると考えられる。また、高床山の西方の妙高火山火砕流堆積面(後期更新世)においては、長さ2 km程の南北走向のナマコ状の高まりが3箇所で認められる。これらの高まりは、傾斜した厚い火砕流堆積物の重力的な変形、あるいは火砕流堆積面の初成的な起伏の可能性もあるが、高まりの走向が高床山西縁の断層と平行で火砕流堆積面の最大傾斜方向とは斜交していることから、高床山西縁の断層の活動により火砕流堆積物が圧縮されたことによって生じた褶曲変形の可能性が考えられる。
妙高凹地帯中央付近の妙高市二俣~田口付近の関川左岸沿いの段丘面上に、段丘面を刻み東流する流路を閉塞させるような高まりが断続的に発達する。これらの高まりは、その走向が妙高山の火山麓扇状地の傾斜方向と直交~斜交すること、北流する関川と火山麓扇状地の間に発達していることから、火山麓扇状地を流下する河川や関川の侵食地形である可能性は低いと考えられ、これらの高まりの西縁に東上がりの活断層の存在が推定される。また、その南方の野尻湖の西岸付近には、南北走向および北東-南西走向のナマコ状の高まりが発達し、これらの高まりの西縁にも東上がりの活断層が推定される(南側のトレースは中田・今泉編(2002)にも記載あり)。さらに南方の信濃町富士里付近では、西流する鳥居川の扇状地上に、扇状地の傾斜方向とほぼ直交する低断層崖が認められる(堤ほか,2000)。この低断層崖でも、葎生付近の低断層崖と同様、隆起側での段丘面の傾動や下流側での顕著な段丘化などの地形が認められる。
以上の活断層群は、一部で分布の不連続はあるものの、高田平野東縁断層南端部付近からほぼ連続的に発達し、信濃町富士里付近まで延びる。この分布形態から、高田平野東縁断層とこれらの断層群は一連の構造であり、従来長さ約26 kmと評価されていた高田平野東縁断層は最大55 km程の長さを持つ可能性が指摘できる。高田平野東縁断層は断層の長さからM7.2程度の地震を発生させる可能性があると評価されていたが、今回の調査で断層長が延長する可能性が指摘されたことにより、最大M7.7程度の地震を発生させる可能性が考えられる。ただし、高床山よりも南方の地域では、これらの断層群と長野盆地西縁断層とは13-14 kmの間隔で平行に分布することから、両者が地下6-7 km程で収斂している可能性があり(断層面の傾斜を45°と仮定)、これらの断層群は長野平野西縁断層のバックスラストと考えることもできる。高田平野東縁断層が起震能力のある活断層としてどこまで南方へ延長するかについては、今後、変位速度の分布や活動履歴、地質構造・地下構造などを考慮して総合的に判断する必要があろう。
妙高凹地帯北部の妙高市葎生(もくろ)付近では、低位段丘面を変位させる東上がりの明瞭な低断層崖および段丘面の東方への傾動が認められる。この低断層崖をほぼ垂直に横切る北沢川などの小河川沿いの沖積面は、低断層崖の下流側で下刻が進み段丘化している。この低断層崖は北方の高床山の西縁の直線的な山麓線に連続しているが、一部で段丘面の傾動がみられることから、高床山の西縁沿いに活断層が延びていると考えられる。また、高床山の西方の妙高火山火砕流堆積面(後期更新世)においては、長さ2 km程の南北走向のナマコ状の高まりが3箇所で認められる。これらの高まりは、傾斜した厚い火砕流堆積物の重力的な変形、あるいは火砕流堆積面の初成的な起伏の可能性もあるが、高まりの走向が高床山西縁の断層と平行で火砕流堆積面の最大傾斜方向とは斜交していることから、高床山西縁の断層の活動により火砕流堆積物が圧縮されたことによって生じた褶曲変形の可能性が考えられる。
妙高凹地帯中央付近の妙高市二俣~田口付近の関川左岸沿いの段丘面上に、段丘面を刻み東流する流路を閉塞させるような高まりが断続的に発達する。これらの高まりは、その走向が妙高山の火山麓扇状地の傾斜方向と直交~斜交すること、北流する関川と火山麓扇状地の間に発達していることから、火山麓扇状地を流下する河川や関川の侵食地形である可能性は低いと考えられ、これらの高まりの西縁に東上がりの活断層の存在が推定される。また、その南方の野尻湖の西岸付近には、南北走向および北東-南西走向のナマコ状の高まりが発達し、これらの高まりの西縁にも東上がりの活断層が推定される(南側のトレースは中田・今泉編(2002)にも記載あり)。さらに南方の信濃町富士里付近では、西流する鳥居川の扇状地上に、扇状地の傾斜方向とほぼ直交する低断層崖が認められる(堤ほか,2000)。この低断層崖でも、葎生付近の低断層崖と同様、隆起側での段丘面の傾動や下流側での顕著な段丘化などの地形が認められる。
以上の活断層群は、一部で分布の不連続はあるものの、高田平野東縁断層南端部付近からほぼ連続的に発達し、信濃町富士里付近まで延びる。この分布形態から、高田平野東縁断層とこれらの断層群は一連の構造であり、従来長さ約26 kmと評価されていた高田平野東縁断層は最大55 km程の長さを持つ可能性が指摘できる。高田平野東縁断層は断層の長さからM7.2程度の地震を発生させる可能性があると評価されていたが、今回の調査で断層長が延長する可能性が指摘されたことにより、最大M7.7程度の地震を発生させる可能性が考えられる。ただし、高床山よりも南方の地域では、これらの断層群と長野盆地西縁断層とは13-14 kmの間隔で平行に分布することから、両者が地下6-7 km程で収斂している可能性があり(断層面の傾斜を45°と仮定)、これらの断層群は長野平野西縁断層のバックスラストと考えることもできる。高田平野東縁断層が起震能力のある活断層としてどこまで南方へ延長するかについては、今後、変位速度の分布や活動履歴、地質構造・地下構造などを考慮して総合的に判断する必要があろう。