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[SSS34-P21] 福井県美浜町沖における三方断層帯及び野坂断層帯海域延長部のボーリング調査
キーワード:三方断層, 野坂断層, 活断層, 音波探査, 海上ボーリング
産総研と東海大学は、平成25年度文部科学省「沿岸海域における活断層調査」の一環として、福井県美浜町沖の三方断層帯と野坂断層帯の音波探査とボーリング調査を実施した。本発表では、ボーリング調査について報告する。三方断層帯に関しては、美浜町日向沖約4kmにおいて、断層の西側(沈降側;水深51m)で深さ4mのコア(MKO-1コア)を採取した。野坂断層帯については、美浜町菅浜沖約1.5kmにおいて、断層の南西側(沈降側;水深12m)で深さ27m、北東側(隆起側;水深12m)で深さ12mのコア(NSO-1コアとNSO-2コア)を採取した。これらコアの詳細肉眼観察を行い、縮尺10分の1の柱状図を作成すると共に、帯磁率測定、放射性炭素年代測定、火山灰分析、花粉・珪藻分析を実施した。
三方断層帯については、深度3.8mから6180-6010 cal.yBPと6380-6260 cal.yBP(いずれも2σ値)が得られるなど、深度にほぼ比例して古くなる放射性炭素年代が得られた。掘削地点(水深51mの沈降側)における最近6千年間の平均堆積速度は約0.6m/kyと求められた。本断層帯については、音波探査によって、沖積層基底面に加えて沖積層内(4m以深)に、断層変位を被った複数の顕著な反射面が捉えられた。目下、各反射面の断層を挟んでの高度差(≒上下変位量)などを手掛かりとして、断層活動の層準の特定を進めている。ボーリング調査では、これらの反射面の年代を直接求めることはできなかったため、後期更新世末~完新世初期の海水準変動に関する文献レビューに基づいて掘削地点への海の侵入時期(≒堆積開始時期)を見積もり、堆積開始から6kaまでの深度-年代曲線を外挿して、各反射面の年代を推定することを検討している。1662年寛文地震時における本断層帯海域延長部の活動の有無については、音波探査データの高度解析の結果を合わせて検討中である。発表では、これらの検討結果について報告する予定である。
野坂断層帯については、NSO-1コアとNSO-2コアの肉眼観察に基づく層相対比と年代測定結果に基づき、堆積物を上位から、主に粗砂と細砂からなるA1層(約6ka以降)、主に粗砂からなるA2層(約6~7.3ka)、主に粗砂と細砂からなるA3層(約7.3~7.5kaと推定される)、砂礫と礫混じり粗砂からなるB1層と主に粗砂と中砂からなるB2層(約7.5~8kaと推定される)、主に粘土と砂混じりシルトからなるC層(約8~10ka)、砂礫からなるD層(沈降側ではAT火山灰を挟む)に区分した。また、A1層は上部(約4ka以降)と下部(約5.5~6ka)に細分した。B2層の基底(B2層/C層境界)は断層を挟んで約5mの高度差があるのに対して、A1層下部の断層を挟んだ基底高度の差は約1.7mと見積もられる。また、A1層下部は沈降側では約1.1mの厚さがあるが、隆起側では約0.2mと薄くなっている。以上の層序・層相の対比結果からは、C層堆積後/A層堆積前(8~6ka)とA1層下部堆積後/同層上部堆積前(約5.5~4ka)に断層活動があった可能性が指摘できる。断層活動の層準・年代と1回の断層活動による変位量については、音波探査データの解析結果と照らし合わせて更に検討を行う。
三方断層帯については、深度3.8mから6180-6010 cal.yBPと6380-6260 cal.yBP(いずれも2σ値)が得られるなど、深度にほぼ比例して古くなる放射性炭素年代が得られた。掘削地点(水深51mの沈降側)における最近6千年間の平均堆積速度は約0.6m/kyと求められた。本断層帯については、音波探査によって、沖積層基底面に加えて沖積層内(4m以深)に、断層変位を被った複数の顕著な反射面が捉えられた。目下、各反射面の断層を挟んでの高度差(≒上下変位量)などを手掛かりとして、断層活動の層準の特定を進めている。ボーリング調査では、これらの反射面の年代を直接求めることはできなかったため、後期更新世末~完新世初期の海水準変動に関する文献レビューに基づいて掘削地点への海の侵入時期(≒堆積開始時期)を見積もり、堆積開始から6kaまでの深度-年代曲線を外挿して、各反射面の年代を推定することを検討している。1662年寛文地震時における本断層帯海域延長部の活動の有無については、音波探査データの高度解析の結果を合わせて検討中である。発表では、これらの検討結果について報告する予定である。
野坂断層帯については、NSO-1コアとNSO-2コアの肉眼観察に基づく層相対比と年代測定結果に基づき、堆積物を上位から、主に粗砂と細砂からなるA1層(約6ka以降)、主に粗砂からなるA2層(約6~7.3ka)、主に粗砂と細砂からなるA3層(約7.3~7.5kaと推定される)、砂礫と礫混じり粗砂からなるB1層と主に粗砂と中砂からなるB2層(約7.5~8kaと推定される)、主に粘土と砂混じりシルトからなるC層(約8~10ka)、砂礫からなるD層(沈降側ではAT火山灰を挟む)に区分した。また、A1層は上部(約4ka以降)と下部(約5.5~6ka)に細分した。B2層の基底(B2層/C層境界)は断層を挟んで約5mの高度差があるのに対して、A1層下部の断層を挟んだ基底高度の差は約1.7mと見積もられる。また、A1層下部は沈降側では約1.1mの厚さがあるが、隆起側では約0.2mと薄くなっている。以上の層序・層相の対比結果からは、C層堆積後/A層堆積前(8~6ka)とA1層下部堆積後/同層上部堆積前(約5.5~4ka)に断層活動があった可能性が指摘できる。断層活動の層準・年代と1回の断層活動による変位量については、音波探査データの解析結果と照らし合わせて更に検討を行う。