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[SSS34-P26] 九州北部,小倉東断層および福智山断層帯の活動性調査
キーワード:小倉東断層, 福智山断層, 頓田断層, 福岡県, 九州, 活断層
小倉東断層は,九州北部,福岡県北九州市小倉北区から小倉南区にかけて北北東-南南西方向に分布する活断層である.福智山断層帯は頓田断層および福智山断層からなり,同じく九州北部,北九州市若松区から田川市にかけて北北西-南南東方向に延びる活断層である.ともに断層の西側が相対的に隆起する上下変位成分を有しており,小倉東断層では右横ずれ,福智山断層帯では左横ずれ変位を伴うことが指摘されている.平成25年2月に地震調査研究推進本部地震調査委員会から公表された長期評価では,小倉東断層については将来の地震発生確率は不明とされ,福智山断層帯では将来の地震発生確率は今後30年間でほぼ0-3 %と十分に絞り込めていない.そのため産業技術総合研究所では,平成25年度文部科学省の委託を受け,小倉東断層および福智山断層帯について,断層活動性を明らかにするための調査を実施した.
小倉東断層においては,南部の2地点(北九州市小倉南区志井および同区新道寺)において,それぞれ4孔ずつの群列ボーリング調査を実施した.志井地点では,東西方向に並んだ4本のコアのうち,最も西側のコアの基盤岩のみが風化した火山性の堆積岩で,残りの3本のコアの基盤岩は破砕した緑色岩であること,最も西側のコアとその東側のコアの間で,基盤岩の上面深度に約1 mの西上がりの高度差があることから,この間に断層が存在することが推定される.基盤岩の上位に載る堆積物は腐植質シルト層を挟む砂礫層からなり,基盤岩の上面とほぼ同じ高度差が認められることから,断層はこれらの堆積物を変位させている可能性があると考えられる.
新道寺地点では,千田ほか(2005)によって示された断層位置をまたいで分布する段丘面上で4孔のボーリングを掘削した.この段丘面には地形の段差は認められないが,米軍撮影の空中写真では南北方向に直線的な色調境界が認められる.東西方向に並んだ4本のコアのうち,西側から2本目と3本目のコアの間で,基盤岩の上面に約2.3 mの高度差が認められた.
福智山断層帯においては,北部の頓田断層におけるトレンチ調査,および福智山断層での2地点での群列ボーリング調査を行った.
頓田断層のトレンチは,断層沿いに並ぶ分離丘陵の直線的な境界の延長線上で掘削した.この地点では,谷底の地形面に下流側が相対的に0.5 m程度高くなる段差が認められ,その段差が断層が推定される分離丘陵の縁辺とほぼ一直線上に並ぶこと,北九州市(1998)による群列ボーリング調査で,この段差の地下に白亜系の関門層群と古第三系の芦屋層群の境界をなす地質断層が推定されていること,段差の東側のみに厚さ1〜2 mの沖積粘土層が分布していることが報告されていたため,この段差が頓田断層の低断層崖である可能性が高いと考え,この段差を横切ってトレンチを掘削した.
トレンチ壁面には,西に急斜した芦屋層群の砂岩および泥岩が露出し,その上位には,段差の東側のみに礫層とシルト層がほぼ水平に分布しているのが観察された.芦屋層群は壁面の東寄りほど急傾斜で破砕度も高くなっていることから,関門層群との境界をなす地質断層(二島断層)はトレンチの東方に位置するものと考えられる.芦屋層群の砂岩層には,熱水変質によるものと思われる粘土脈が発達している.礫層とシルト層の分布の西端は,地形的な段差の2〜3 m東に位置し,境界は高角度で,特に南側壁面では一部で上下が逆転しているが,境界面には明瞭な断層構造は認められない.境界付近の基盤岩は著しく風化しており,粘土化した基盤岩と堆積物との区別が困難な部分もある.
八幡西区池田では,地質境界となっている主断層の西側に,段丘面に東側隆起の撓曲変形を与える副次的な断層が推定されている(千田ほか,2005).この撓曲構造を横断して,東西方向に幅約200 mの範囲で8孔の群列ボーリング調査を実施した.その結果,基盤岩の上面とその上位の礫層に撓曲状の高度差が認められ,その東側の基盤岩中には断層および破砕帯が確認された.
さらに南方の福智町上野付近では,扇状地性の段丘面を変位させる逆向き低断層崖と,一部に河谷の左横ずれ屈曲が認められる.このうちの福智町堀田において,逆向き低断層崖を横切って北東-南西方向に4孔の群列ボーリング調査を行った.その結果,段丘面を構成する礫層の上面は,扇状地面が南西に傾斜するのに対してほぼ水平で,最も南西側のコアでは礫層中に断層構造が認められた.
今後,試料の年代測定結果をもとに解釈の検討を進めるとともに,活動履歴を明らかにするための調査を実施する予定である.
小倉東断層においては,南部の2地点(北九州市小倉南区志井および同区新道寺)において,それぞれ4孔ずつの群列ボーリング調査を実施した.志井地点では,東西方向に並んだ4本のコアのうち,最も西側のコアの基盤岩のみが風化した火山性の堆積岩で,残りの3本のコアの基盤岩は破砕した緑色岩であること,最も西側のコアとその東側のコアの間で,基盤岩の上面深度に約1 mの西上がりの高度差があることから,この間に断層が存在することが推定される.基盤岩の上位に載る堆積物は腐植質シルト層を挟む砂礫層からなり,基盤岩の上面とほぼ同じ高度差が認められることから,断層はこれらの堆積物を変位させている可能性があると考えられる.
新道寺地点では,千田ほか(2005)によって示された断層位置をまたいで分布する段丘面上で4孔のボーリングを掘削した.この段丘面には地形の段差は認められないが,米軍撮影の空中写真では南北方向に直線的な色調境界が認められる.東西方向に並んだ4本のコアのうち,西側から2本目と3本目のコアの間で,基盤岩の上面に約2.3 mの高度差が認められた.
福智山断層帯においては,北部の頓田断層におけるトレンチ調査,および福智山断層での2地点での群列ボーリング調査を行った.
頓田断層のトレンチは,断層沿いに並ぶ分離丘陵の直線的な境界の延長線上で掘削した.この地点では,谷底の地形面に下流側が相対的に0.5 m程度高くなる段差が認められ,その段差が断層が推定される分離丘陵の縁辺とほぼ一直線上に並ぶこと,北九州市(1998)による群列ボーリング調査で,この段差の地下に白亜系の関門層群と古第三系の芦屋層群の境界をなす地質断層が推定されていること,段差の東側のみに厚さ1〜2 mの沖積粘土層が分布していることが報告されていたため,この段差が頓田断層の低断層崖である可能性が高いと考え,この段差を横切ってトレンチを掘削した.
トレンチ壁面には,西に急斜した芦屋層群の砂岩および泥岩が露出し,その上位には,段差の東側のみに礫層とシルト層がほぼ水平に分布しているのが観察された.芦屋層群は壁面の東寄りほど急傾斜で破砕度も高くなっていることから,関門層群との境界をなす地質断層(二島断層)はトレンチの東方に位置するものと考えられる.芦屋層群の砂岩層には,熱水変質によるものと思われる粘土脈が発達している.礫層とシルト層の分布の西端は,地形的な段差の2〜3 m東に位置し,境界は高角度で,特に南側壁面では一部で上下が逆転しているが,境界面には明瞭な断層構造は認められない.境界付近の基盤岩は著しく風化しており,粘土化した基盤岩と堆積物との区別が困難な部分もある.
八幡西区池田では,地質境界となっている主断層の西側に,段丘面に東側隆起の撓曲変形を与える副次的な断層が推定されている(千田ほか,2005).この撓曲構造を横断して,東西方向に幅約200 mの範囲で8孔の群列ボーリング調査を実施した.その結果,基盤岩の上面とその上位の礫層に撓曲状の高度差が認められ,その東側の基盤岩中には断層および破砕帯が確認された.
さらに南方の福智町上野付近では,扇状地性の段丘面を変位させる逆向き低断層崖と,一部に河谷の左横ずれ屈曲が認められる.このうちの福智町堀田において,逆向き低断層崖を横切って北東-南西方向に4孔の群列ボーリング調査を行った.その結果,段丘面を構成する礫層の上面は,扇状地面が南西に傾斜するのに対してほぼ水平で,最も南西側のコアでは礫層中に断層構造が認められた.
今後,試料の年代測定結果をもとに解釈の検討を進めるとともに,活動履歴を明らかにするための調査を実施する予定である.