日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS35_2PM2] 微動探査の近年の発展

2014年5月2日(金) 16:15 〜 17:00 502 (5F)

コンビーナ:*中原 恒(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座)、佐藤 浩章(電力中央研究所)、座長:佐藤 浩章(電力中央研究所)、中原 恒(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻固体地球物理学講座)

16:15 〜 16:30

[SSS35-06] 液状化地域の「i微動」的解釈:浦安地域におけるケーススタディ(2)

*佐藤 伸司1東 将士2樋口 茂生3稲田 晃3伊藤 彰秀4岩本 広志5上加世田 聡6川崎 健一7楠 恵子8品田 正一2末永 和幸9渡邉 拓美3先名 重樹10藤原 広行10 (1.千城台高校、2.石油資源開発、3.無、4.千葉北高校、5.関東天然瓦斯開発、6.NTCコンサルタンツ(株)、7.千葉西高校、8.浦安高校、9.(株)地球システム科学、10.防災科学技術研究所)

キーワード:液状化, 地割れ, 常時微動, i微動, 浦安, 埋立地

2011.3.11東北地方太平洋沖地震で浦安高校に2本の長大地割れ(①,②)が発生した。この地域は,埋立プロセスから《A》海面下土地,《B》海底浚渫土砂による埋立地《C》護岸周辺地帯という3地区に分類可能で、前述の地割れ①は《A》地区と《B》地区の境界に,②地割れは《B》地区と《C》地区の境界に発生したと考えられる(岩本ほか, 2014).これらのことを踏まえ,地下地質の物性の把握とこれまでの線的な把握を面的に拡張することを目的として,《A》《B》《C》の3地区に沖積地を加えた4地区で常時微動観測を行った.具体的には,微動観測の後,得られたH/Vスペクトルと地下地質との比較および解析を行った。常時微動観測では防災科学技術研究所のJU310微動計を用い,その計測,解析には同研究所の「i微動」システム(先名ほか,2011)を用いた.この結果,明らかになったのは次のとおりである.(1)《A》《B》《C》全ての地区で1Hz強にピークが認められる.これは洪積層と沖積層のインピーダンス比によるピークと考えられ,沖積地および埋立地に共通する.(2)《B》地区(第1期埋立地)では,4-5Hz前後にピークが認められ,典型的な埋立地の特徴を示す.ボーリング調査の結果を踏まえると,《B》地区に特徴的に分布する(Nd値0の海底浚渫土砂による)埋立地シルト層と沖積層とのインピーダンス比が関係している点が重要である.(3)《A》《C》地区では,4-5Hz前後のピークは見られないか、不明瞭である場合が多く,このピークを生じる両者のコントラストは認められない.ただ《C》では,護岸周辺のNd値の高い物質の関与が推定される.一方、①および②地割れを挟む両側では,たった数メートルの距離でも,この4-5Hz前後のピークが一方では認められ,他方では認められない.以上から,「i微動」による解析結果は,岩本ほか(2014)による埋立層の地質単元区分が地割れ生成史を解く上で不可欠である点を,物理的な側面から裏づけた.このように,常時微動観測は,ボーリング結果との併用により地下地質の物性把握と面的な拡張に非常に有用である.今後防災分野への利用に向けた積極的な展開を考えたい.謝辞 中山俊雄氏(NIED客員研究員)には,i微動システムの利用にあたって大変お世話になった.ここに感謝申し上げる.文献岩本広志, 東将士, 樋口茂生, 稲田晃, 伊藤彰秀, 上加世田聡, 川崎健一, 楠 恵子, 佐藤伸司, 品田正一, 末永和幸, 渡邉拓美(2014)液状化地域の現世地質学的解釈:浦安地域におけるケーススタディ(1).地球惑星科学連合2014年大会.先名重樹, 東 宏樹, 武留井優子, 藤原広行(2011)微動探査観測システム「i微動」等の開発.物理探査学会第124回学術講演会論文集,346-348.