日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT57_30PO1] 地震観測・処理システム

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*八木 勇治(国立大学法人 筑波大学大学院 生命環境系)

18:15 〜 19:30

[STT57-P04] 気象研における長期型自己浮上式海底地震計の整備と不具合対策

*平田 賢治1対馬 弘晃1山崎 明1勝間田 明男1前田 憲二1馬塲 久紀2松原 忠泰3伊藤 立也3杉田 智也3堀 克博4白子 剛史4 (1.気象庁気象研究所、2.東海大学海洋学部、3.株式会社東京測振、4.日油技研工業株式会社)

キーワード:長期, 地震観測, 海底地震計, 不具合対策

気象研究所は、海上保安庁海洋情報部が我が国周辺の大陸棚調査に活用してきた(株)東京測振製の短期観測型OBS(型式:TOBS-24N)を平成18年度に30台譲り受けた。これらTOBS-24Nは、平成23年度および平成24年度各年で4台ずつ、2年間で合計8台の、既存のOBSガラス球内部のレコーダーを低消費電力型レコーダーに改造し、気象研究所として初めて最長1年間の長期観測が可能な長期型OBS(TOBS-24NL)を整備した。低消費電力化は、これ以前にJAMSTECにより実施されたものと同様に、電源の低電圧化・AD変換素子の低消費電力化・記録媒体の低電力化によってなされた。
平成23年11月気象庁観測船凌風丸RF11-10次航海においてこれらの長期型OBS4台を房総半島沖に設置した。平成24年9月に同じく凌風丸RF12-07次航海においてこれら4台の回収と新たに4台の長期型OBSの設置をしようとしたところ、出港前の確認では正常動作していた4台の設置用の長期型OBSの音響トランスポンダが出港してまもなく、不規則な間隔で自発的に音を発振するなど動作不良に陥っていることがわかった。また、回収を試みた長期型OBS4台のうち2台の音響トランスポンダから応答を確認することができず回収することができなかった。回収した2台の長期型OBSは良好な記録が得られていることを確認した。
音響トランスポンダの動作不良については、RF12-07次航海終了直後、動作不良のトランスポンダをメーカーに送り返し原因究明をおこなった。その結果、(1) 夏場の高温環境下と冬場の低温環境下にさらされる保管場所でOBSを保管したため、OBS音響トランスポンダの送受波器(逆鍋型形状のチタン製容器内にオイルで充たされた音響素子を収納)の内部にオイルの収縮による隙間が生じていた可能性があること、さらに、(2) 船のエンジン主機や発電機による振動ノイズによって、送受波器容器内部にキャビテーション現象が生じ、音響性能を劣化させた可能性があること、の2つが原因であろうと推測された。これに基づき次の2つの対策案が考えられた;(a)音響トランスポンダ電子回路の再調整と送受波器のオーバーホールを行う。(b)船体振動の影響を低減するため免震マットの上にOBSを搭載する。これらの有効性を検討するために室内実験が行われ、この2つの対策が有効であることを示唆する実験結果が得られた。その後、気象庁観測船啓風丸航海2航海および啓風丸1航海を用いた現場確認試験の結果、これらの対策が有効であることが確かめられた。