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[STT59-09] 2013年10月15日フィリピン・ボホール島の地震に伴う地殻変動
キーワード:ボホール地震, 合成開口レーダー, 地殻変動, 内陸地震, SAR, RADARSAT-2
本研究は,衛星SARデータを用いて2013年10月15日に発生したフィリピン・ボホール地震(死者222名)の地殻変動を検出し,その震源断層メカニズムを推定したものである.ピクセルオフセット法を用いた解析により,最大約1mを超える地殻変動が,島の北西部において,東北東-西南西の方向に,長さ約50kmの帯状に観測された.北東部には,長さ約5kmの変位の不連続が見られ,変位の跳びの量は最大約2mに達している.この付近では現地調査から地表地震断層が出現していることがわかっており,その結果と調和的である.観測された地殻変動データをもとに構築した矩形断層一様すべりの震源断層モデルから,東北東-西南西方向の走向をもつ長さ約50kmで傾斜角が約60°の断層による逆断層すべりで観測された変位場はほぼ説明されることがわかった.さらに,散乱強度の変化を利用した解析(加色混合法)による海岸線変化抽出を試みたところ,震源領域の西側にあたるLoonからMaribojocにかけて約10kmの海岸線が海側に移動(離水)したことがわかった.震源断層モデルから,この付近は周囲より大きな隆起(約1m)が予想されており,加色混合法で得られた結果と調和的である.本地震においては,震源領域周辺に地殻変動観測データはなく,このような詳細な地震像はSAR解析のみにより得られたものであることは特筆すべきことである.