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[STT59-11] 多偏波SARデータを用いたPS-InSAR解析手法の開発
キーワード:PS-InSAR解析, 地表変動, 偏波
Persistent scatterer SAR interferometry (PS-InSAR)解析は、複数のSARデータを用いて地表変動を推定する手法であり、これまでにも非地震性地殻変動や火山、地盤沈下等の微小地表変動の推定に成果を挙げてきた。通常、PS-InSAR解析には単偏波で取得されたSARデータが用いられるが、近年はALOS/PALSAR等、多くの衛星搭載SARで多偏波による観測が行われており、今後も多偏波SARデータの利用可能性は益々高まってくると考えられる。そのため、本研究では多偏波SARデータを用いたPS-InSAR解析手法を開発し、従来の単偏波SARデータのみを用いて行われる解析と比べて、地表変動の推定精度が向上することを示す。本研究では、複数の偏波で取得されたSAR干渉画像を同時に解析することで、独立に近いデータ数が増えるとみなすことができるため、地表変動推定精度が向上すると考えた。ただし、地表散乱体の誘電特性や形状に応じて各偏波に対する散乱特性が変化するため、SAR干渉画像は偏波ごとに干渉度の低下に伴う位相ノイズ量が異なると考えられる。そのため、各ピクセルの位相ノイズ量に応じて偏波干渉画像ごとの相対的な重みを決定し、年間地表変動量の推定を行った。本手法をALOS/PALSARの多偏波モードで観測されたデータに適用し、検証を行った。まず、HH-HHの干渉画像とVV-VVの干渉画像の両方を用いて解析を行った結果、HH-HHとVV-VVの干渉画像に対する重みはほぼ同等となった。すなわち、PSを有するピクセルではHH編波とVV偏波に対する位相ノイズ量はほぼ同じであると言える。一方で、HH-HHとHV-HVの干渉画像の両方を用いて解析を行った場合は、HH-HHの干渉画像の重みの方が大きい結果となった。これは、HH-HH干渉画像はHV-HV干渉画像に比べて、より干渉度の低下が少ないためと解釈できる。ただし、HH偏波のみを用いて解析を行う場合と比べて、HHとHV偏波両方を用いて解析を行うことで地表変動の推定精度が向上することが示された。