18:15 〜 19:30
[STT59-P07] TerraSAR-X (TanDEM-X)/DInSARによって検出された霧島山・新燃岳の地殻変動
キーワード:合成開口レーダ, 霧島山, 新燃岳, 地殻変動
九州南部,鹿児島県と宮崎県の県境に位置する霧島山新燃岳は,2011年1月に噴火活動を開始し,同年9月以来目立った噴火活動を起こしていない.噴火後のGPS及びDInSAR観測の結果,2011年噴火に関係した主マグマ溜り(深さ7.5-10km)への噴火後再充填に伴うと思われる広域の地殻変動が検出されたが,この地殻変動も同年11月頃から鈍化を始め,その後顕著な膨張は見られていない.しかし,ドイツのXバンドSAR衛星・TerraSAR-X及びTanDEM-Xによるモニタリングを継続した結果,噴火活動及び広域の地殻変動が見られなくなった2011年11月以降,火口内溶岩表面がわずかずつではあるが隆起をしていることが明らかになった.異なる波長を持ち異なる軌道から観測したカナダのCバンドSAR衛星・RADARSAT-2のデータを用いた解析でもほぼ同様の結果が得られている.
検出された火口内溶岩表面の隆起は,すなわち火口内溶岩の継続的な体積増加を示していると考えられ,これは2014年1月現在継続中である.しかし隆起レート(体積増加レート)は徐々に低下し,2011年11月には約10cm/monthであったが,2012年10月以降3-4cm/month程度になった(図1).また2013年6月下旬,この火口内溶岩表面の隆起が停止したように見られたが,2013年7月には隆起が再開した.観測された隆起量から計算されたこの間(2011年11月~2014年1月)の火口内溶岩の総体積増加量は,およそ8×10^4m^3と見積もられる.
TerraSAR-X(及びTanDEM-X)の11日間隔,もしくはRADARSAT-2の24日間隔のSARデータペアを使ったDInSAR解析では,火口外側に顕著な地殻変動は検出されなかった.しかし,データペアの観測間隔を十分に長くとったDInSAR解析の結果と,PSInSAR解析の結果,それぞれ火口北側山腹に衛星-地面間の距離が遠ざかる地殻変動,すなわち沈降を含む地殻変動が検出された.これは火口地下浅部にある変動源(浅部ソース)の収縮によるものと考えることができる. この浅部ソースとしてSillタイプのポイントソース[Okada, 1985]を仮定すると,最適解は火口地下約700mに推定され,体積減少はゆらぎを伴いつつも継続している.これらのことから,火口内溶岩の体積増加は,火口地下浅部にあるソースから溶岩が徐々に流出していることが原因であると考えられる.
その主な駆動力は,2011年噴火時に大量のマグマが供給されたことによる浅部ソース内の過剰圧であると考えられ,その後平衡状態へ移行する期間の溶岩の流出を見ているものと考えられる.また,仮にこの系が,浅部ソースと火口内溶岩の間だけで閉じているとすると,体積増加レートは減少し続けて0になり,火口外側の収縮の地殻変動も止まるはずだが,体積増加レートは2013年8月以降バラつきながらも50m^3/day程度に落ち着いている.これはこの系が閉じていないことを示しており,深部ソースから浅部ソースへのマグマの供給が,微量ではあるが継続して行われていたと考えることができる.このマグマの供給が,浅部ソースから火口内へ溶岩を押し出す駆動力の一つとなっている可能性も考えられる.
TerraSAR-X及びTanDEM-Xによるモニタリングは今後も継続して行われる予定であり,本発表時点での最新のデータを用いた解析結果についても紹介する.
検出された火口内溶岩表面の隆起は,すなわち火口内溶岩の継続的な体積増加を示していると考えられ,これは2014年1月現在継続中である.しかし隆起レート(体積増加レート)は徐々に低下し,2011年11月には約10cm/monthであったが,2012年10月以降3-4cm/month程度になった(図1).また2013年6月下旬,この火口内溶岩表面の隆起が停止したように見られたが,2013年7月には隆起が再開した.観測された隆起量から計算されたこの間(2011年11月~2014年1月)の火口内溶岩の総体積増加量は,およそ8×10^4m^3と見積もられる.
TerraSAR-X(及びTanDEM-X)の11日間隔,もしくはRADARSAT-2の24日間隔のSARデータペアを使ったDInSAR解析では,火口外側に顕著な地殻変動は検出されなかった.しかし,データペアの観測間隔を十分に長くとったDInSAR解析の結果と,PSInSAR解析の結果,それぞれ火口北側山腹に衛星-地面間の距離が遠ざかる地殻変動,すなわち沈降を含む地殻変動が検出された.これは火口地下浅部にある変動源(浅部ソース)の収縮によるものと考えることができる. この浅部ソースとしてSillタイプのポイントソース[Okada, 1985]を仮定すると,最適解は火口地下約700mに推定され,体積減少はゆらぎを伴いつつも継続している.これらのことから,火口内溶岩の体積増加は,火口地下浅部にあるソースから溶岩が徐々に流出していることが原因であると考えられる.
その主な駆動力は,2011年噴火時に大量のマグマが供給されたことによる浅部ソース内の過剰圧であると考えられ,その後平衡状態へ移行する期間の溶岩の流出を見ているものと考えられる.また,仮にこの系が,浅部ソースと火口内溶岩の間だけで閉じているとすると,体積増加レートは減少し続けて0になり,火口外側の収縮の地殻変動も止まるはずだが,体積増加レートは2013年8月以降バラつきながらも50m^3/day程度に落ち着いている.これはこの系が閉じていないことを示しており,深部ソースから浅部ソースへのマグマの供給が,微量ではあるが継続して行われていたと考えることができる.このマグマの供給が,浅部ソースから火口内へ溶岩を押し出す駆動力の一つとなっている可能性も考えられる.
TerraSAR-X及びTanDEM-Xによるモニタリングは今後も継続して行われる予定であり,本発表時点での最新のデータを用いた解析結果についても紹介する.