日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC50_2AM1] 火山噴火のダイナミクスと素過程

2014年5月2日(金) 09:00 〜 10:45 315 (3F)

コンビーナ:*鈴木 雄治郎(東京大学地震研究所)、奥村 聡(東北大学大学院理学研究科地学専攻地球惑星物質科学講座)、小園 誠史(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)、座長:奥村 聡(東北大学大学院理学研究科地学専攻地球惑星物質科学講座)、清杉 孝司(東京大学地震研究所)

09:30 〜 09:45

[SVC50-03] 2011年1月26‐27日新燃岳噴火に伴う火山灰輸送に関する数値実験

*橋本 明弘1鈴木 雄治郎2新堀 敏基1高木 朗充1 (1.気象庁気象研究所、2.東京大学地震研究所)

キーワード:火山灰拡散, 移流拡散モデル, 新燃岳, 2011年

2011年1月26-27日新燃岳噴火による火山灰輸送を、気象庁非静力学モデルをベースとする噴煙-降灰モデルを用いて再現し、衛星観測データによる検証を行っている。噴煙-降灰モデルは、火山灰の粒子サイズ・放出地点を初期条件として与えることで大気中への火山灰放出を表し、単位質量空気に含まれる火山灰粒子の質量と数を予報変数として火山灰雲の移流・拡散を再現する。計算領域は宮崎県沖から四国沖を中心として2500km×2000kmと広域にとり、水平解像度は5kmとした。火山灰放出は、単純な鉛直一次元噴煙柱モデル (Suzuki, 1983; Shimbori et al., 2010) に基づき、噴煙頂高度・火山灰粒子のサイズ・放出点高度の関数として与える。数値実験の結果、衛星で観測された火山灰雲の大局的な分布は再現できたものの、詳細に見ると火山灰雲の有無が観測データと異なる領域がみとめられ、仮定した火山灰放出点やサイズ分布に改善の余地があることが分かった。そこで、より現実的な火山灰放出を初期条件として与えるために、噴煙ダイナミクスを考慮した3次元直接数値計算を行った(Suzuki and Koyaguchi, 2013)。3次元直接数値計算の結果、従来の鉛直一次元噴煙柱モデルから与えられる火山灰放出の関数に比べ、数10μm未満の火山灰粒子の放出率のピークがより低い高度に現れることが新たに分かった。この結果から推定される火山灰放出の関数を導入して、新たな噴煙柱モデルを開発している。広域火山灰輸送に対する新しい火山灰放出の関数の効用について、数値実験の結果を示し議論する。謝辞本研究は、東京大学地震研究所共同研究プログラムの援助をうけました。参考文献Shimbori, T., Y. Aikawa, K. Fukui, A. Hashimoto, N. Seino, and H. Yamasato, 2010: Quantitative tephra fall prediction with the JMA mesoscale tracer transport model for volcanic ash: A case study of the eruption at Asama volcano in 2009. Pap. Met. Geophys., 61, 13-29. Suzuki, T., 1983: A theoretical model for dispersion of tephra. Arc Volcanism: Physics and Tectonics. TERRAPUB, 95-113.Suzuki, Y. and T. Koyaguchi, 2013: 3D numerical simulation of volcanic eruption clouds during the 2011 Shinmoe-dake eruptions. Earth Planets Space, 65, 581-589.