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[SVC50-P01] 領域移流拡散モデルによる1914(大正3)年桜島噴火を想定した火山灰拡散および降灰予測
キーワード:移流拡散モデル, 火山灰拡散, 降灰, 降灰予報, 桜島, 1914年
気象研究所では2014年度から5年計画で,大規模噴火を想定した気象庁領域移流拡散モデル(JMA-RATM)による予測技術の研究を実施し,気象庁で運用している降灰予報の高度化に資することを計画している.今から100年前の1914(大正3)年1月12日に発生した桜島噴火(大正噴火)は,20世紀に国内で発生した最大規模の噴火であり,この噴火に伴う降灰は東北地方まで確認された(長谷川,1914;大森,1916).大規模噴火に対する現在のJMA-RATMの予測可能性を調べるため,大正噴火を想定した火山灰拡散・降灰予測を行った.初期値の噴煙柱モデルは山科(1999),安井・他(2006),井口(2014)などに基づき,噴煙の高度3000~18000 m,噴火の継続時間38時間で噴出物(火山灰・礫)の総量6×108 m3を仮定した.気象場は2013年3月28日以降の領域拡張された気象庁メソ数値予報モデルの解析値を入力値として用い,季節ごとに噴火開始から72時間先までの予測計算を実行した.この結果,火山灰の密度として軽石(1 g/cm3)を仮定した場合,桜島島内では風が弱いときは1 m以上,東風の卓越する夏季では桜島西方の鹿児島市内で数10 cm,南西風が卓越する場では大阪,名古屋,東京でも1 mm~0.1 mmオーダーの降灰が予想され,火山灰は大正噴火と同様に東北地方,さらに北海道まで移流・拡散する可能性が示された.
本発表では,桜島大正噴火を想定した火山灰拡散・降灰予測の結果を踏まえ,大規模噴火に対する現在のJMA-RATMによる予測可能性とその課題について報告する.
参考文献
長谷川謙,1914:桜島山噴火概況報告.気象要覧 臨時増刊,170,中央気象台,1-16.
井口正人,2014:大正噴火から100年を迎えて.桜島大正噴火「防災」100年式典講演資料.
大森房吉,1916: Accumulation and transportation of ashes thrown out during the Sakura-jima eruptions of 1914: The Sakura-jima eruptions and earthquakes II. 震災予防調査会紀要, 8, 113-133.
山科健一郎,1999:桜島火山1914年噴火の噴煙高度-目撃資料の検討.火山,44,71-82.
安井真也・高橋正樹・石原和弘・味喜大介,2006:桜島火山大正噴火の記録.日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要,41,75-107.
本発表では,桜島大正噴火を想定した火山灰拡散・降灰予測の結果を踏まえ,大規模噴火に対する現在のJMA-RATMによる予測可能性とその課題について報告する.
参考文献
長谷川謙,1914:桜島山噴火概況報告.気象要覧 臨時増刊,170,中央気象台,1-16.
井口正人,2014:大正噴火から100年を迎えて.桜島大正噴火「防災」100年式典講演資料.
大森房吉,1916: Accumulation and transportation of ashes thrown out during the Sakura-jima eruptions of 1914: The Sakura-jima eruptions and earthquakes II. 震災予防調査会紀要, 8, 113-133.
山科健一郎,1999:桜島火山1914年噴火の噴煙高度-目撃資料の検討.火山,44,71-82.
安井真也・高橋正樹・石原和弘・味喜大介,2006:桜島火山大正噴火の記録.日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要,41,75-107.