日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC52_28PO1] 火山防災の基礎と応用

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、宝田 晋治(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、藤田 英輔(防災科学技術研究所観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット)、佐々木 寿(アジア航測株式会社)

18:15 〜 19:30

[SVC52-P03] 噴煙柱からの粒子離脱(2)─観測点配置による再現性評価

*萬年 一剛1 (1.神奈川県温泉地学研究所)

キーワード:降下火山灰, Tephra2, シミュレーション

降下火山灰シミュレーションにおいて、地上における堆積量見積の誤差が生じる原因として、噴煙柱のどの高さからどれだけの量の粒子が放出されているかを示す給源パラメータの不確定性が考えられる。給源パラメータは高さにかかわらず均質としたり、粒径と噴煙の上昇速度の関連から決めたり(鈴木モデル)されているが、観測を元に調べた研究はほとんど無い。著者はTephra2と観測された気象場を用いて、伊豆大島1986年噴火の給源パラメータをインバージョンによって求めようとしている(昨年度本大会)。
今回は、観測点配置によって、再現される給源パラメータにどのような違いが生じるかを、2つの方法を使って評価した。
1つは、ダミーの噴煙パラメータを与えて、各観測点における降灰量を計算し、その計算結果にもとづくインバージョンで、最初に与えたダミーの噴煙パラメータを再現できるか確認するというものである。
もう1つは、ジャックナイフ法によるものである。この方法では、観測点を順番に一つずつ外し、その都度給源パラメータを計算する。その都度計算される給源パラメータは「疑似値」とよばれるが、最終的な給源パラメータの推定値は疑似値の平均値、給源パラメータの誤差は疑似値の標準偏差となる。
伊豆大島1986年B噴火について、この2つの方法を使って、観測点配置による再現性を評価したところ次のことがわかった。まず、再現できる高度の範囲は粒径によって異なり、-3phiで7km、0phiで4kmが上限であった。またジャックナイフ法による給源パラメータの誤差はあまり大きくなく、ほとんどの場合10%以下であった。