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[SVC53-P04] 西南日本弧、山口県大津地域に分布する中新世玄武岩類の成因
キーワード:アルカリ岩, ソレアイト, ホウ素, 希土類元素, マントル
山口県大津地域の中新世玄武岩類(以下、大津玄武岩類)は、日本海沿岸の角島、油谷島~向津具半島、青海島にかけてそれぞれ独立した溶岩流主体の火山として分布している。大津玄武岩類は、地質層序、岩石記載、全岩化学組成に基づいて、単斜輝石かんらん石玄武岩(COB)とかんらん石玄武岩Magnetite-Rich type Basalt(MRB)1・2とかんらん石玄武岩Magnetite-Poor type Basalt(MPB)の4グループに細分される。MRB1・2はFeO*やTiO2に富むのに対し、MPBはSiO2やAl2O3に富む特徴を有する。MRB1・2、COBはアルカリ玄武岩、MPBはソレアイトに区分される。本発表では、大津玄武岩類を対象に地質学的・岩石学的・地球化学的検討から、マグマの成因と起源マントルの岩石学的性質について議論する。
各グループのかんらん石のMg値は高く、それと平衡にあるメルトは未分化マグマの組成を保持することが推定される。MRB、MPBはマスバランス計算によりそれぞれ異なったいくつかの段階的な分別結晶作用の過程を経たと予想されるが、両者は共通の初生マグマからの分化では説明することはできない。各グループの初生マグマは、MRB1、MRB2、COB、MPBの順に、マントルとの最終平衡深度が浅くなり、部分溶融度が高くなる。始源マントルで規格化したmulti trace element plotsでは、大津玄武岩類はLIL元素(Rb、Baなど)に富み、NbやSmには負異常が認められる。かんらん石とスピネルの鉱物組成(OSMA)から、MPBは4グループの中で最もfertileなマントルに由来したと予想され、その他3グループの枯渇度はほぼ同程度で、ハルツバージャイト的である。また、4グループのLREE/HREE比(例えば、La/Yb比)は異なり、単一の起源マントルの部分溶融度の違いでは説明できない。B/Nb比はマグマがマントルから分離した深度が浅くなるに従い増加する傾向をもつ。分離深度が最も浅いMPBは他のグループに比べより沈み込み成分に富んだ起源マントルに由来したと考えられる。
以上のことから、大津玄武岩類の化学組成の多様性は、マントルプルームが浅部がより大きく沈み込み帯交代作用を受けたマントル内を上昇し、それらを同化して組成を変化させ、各グループの初生マグマを順々に生成した結果であると考えられる。
各グループのかんらん石のMg値は高く、それと平衡にあるメルトは未分化マグマの組成を保持することが推定される。MRB、MPBはマスバランス計算によりそれぞれ異なったいくつかの段階的な分別結晶作用の過程を経たと予想されるが、両者は共通の初生マグマからの分化では説明することはできない。各グループの初生マグマは、MRB1、MRB2、COB、MPBの順に、マントルとの最終平衡深度が浅くなり、部分溶融度が高くなる。始源マントルで規格化したmulti trace element plotsでは、大津玄武岩類はLIL元素(Rb、Baなど)に富み、NbやSmには負異常が認められる。かんらん石とスピネルの鉱物組成(OSMA)から、MPBは4グループの中で最もfertileなマントルに由来したと予想され、その他3グループの枯渇度はほぼ同程度で、ハルツバージャイト的である。また、4グループのLREE/HREE比(例えば、La/Yb比)は異なり、単一の起源マントルの部分溶融度の違いでは説明できない。B/Nb比はマグマがマントルから分離した深度が浅くなるに従い増加する傾向をもつ。分離深度が最も浅いMPBは他のグループに比べより沈み込み成分に富んだ起源マントルに由来したと考えられる。
以上のことから、大津玄武岩類の化学組成の多様性は、マントルプルームが浅部がより大きく沈み込み帯交代作用を受けたマントル内を上昇し、それらを同化して組成を変化させ、各グループの初生マグマを順々に生成した結果であると考えられる。