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[SVC54-07] 伊豆小笠原弧北部,三宅島火山先大船戸期噴出物中に分布する軽石
キーワード:三宅島, 軽石, 三宅島先大船戸軽石, 伊豆小笠原弧北部
伊豆小笠原弧北部の火山島である三宅島は,東京から約180 km南の,北西太平洋に位置している.島の北西部には海食崖が続いており,一色(1960)はそこで淡橙色軽石凝灰岩の存在を報告している.本研究の目的は,この軽石凝灰岩の分布,層序,堆積構造,岩石学的特徴,鉱物学的特徴を詳細に明らかにすることである.本研究では一色(1960)の軽石凝灰岩を三宅島先大船戸軽石(OFP)として再定義した.OFPは島の西部から北部にかけて分布している.OFPはATテフラ(30 ka; Smith et al., 2013)の下位に位置しており,このことはOFPの噴出年代が3万年より以前であることを示している.OFPの中には,火砕流様の堆積構造を示す地点がある.OFPに含まれるK2OとFeOの関係を見ると,K2Oが低くFeOが高い傾向が見られた.津久井ほか(2006)や齋藤・宮入(2008)の示した伊豆小笠原弧の噴出物に対する同様の関係を見ると,前弧側の伊豆大島や八丈島の噴出物は,K2Oが低くFeOが高い傾向を示し,背弧側の新島や神津島の噴出物は反対に,K2Oが高くFeOが低い傾向を示している.このことからOFPは新島や神津島から漂着したものではなく,前弧側起源の噴出物であることが考えられる.本稿では,三宅島火山の3万年前の噴火が,現在の三宅島の北西部における軽石噴火に特徴づけられることを明らかにした.現段階ではOFPの給源や噴火様式を詳細に明らかにすることはできなかったが,今後,火砕流様の堆積構造が見られた露頭を詳細に調べることで,この2つの問題を明らかにしたい.