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[SVC54-P07] 渡島大島火山におけるAD1741以前の噴火痕跡の発見
キーワード:渡島大島, 噴火履歴, 広域テフラ
北海道南西部に位置する渡島大島火山は1741-42年,1759年に噴火の記録が残されている.一方,それ以前の活動は歴史記録がなく,噴火年代や規模は不明である.また,本火山は,海洋島火山で無人島であるため,研究が進んでいなかった.ここでは,渡島大島火山の噴火履歴を解明するため,島に上陸して3度の地質調査を行い,その結果として最近3000年間に複数回噴火した痕跡を確認できたので概要を報告する.
本火山は,1741年以降の黒色スコリアに厚く覆われており,1741年以降の堆積物が確認できる場所が乏しい.3回目の調査では,山頂付近の露頭において山体を広く覆う黒色スコリアの層の下位の地層中に2層の白色細粒火山灰層を確認した.これらは火山ガラスの組成からAD1640年の駒ヶ岳d火山灰(Ko-d)と約AD940の白頭山?苫小牧テフラ(B-Tm)に対比される.
本露頭ではKo-dの上位には土壌層10cmを挟んで1741年以降の噴出物A(淘汰の良い黒色スコリア層)が層厚3m以上堆積している.Ko-dとB-Tmの間には,Ko-dの下位に3cmの土壌層を挟んで,層厚50cmの礫サイズの発泡した新鮮な岩片を含む淘汰の良い降下火砕物層3層と細粒降下火山灰層4層の互層からなる噴火堆積物Bが確認できる.堆積物BとB-Tmの間には8cmの土壌層を挟み,B-Tmの下位は,層厚25cmの土壌層を挟んで,淘汰の良い暗茶褐色スコリアないし黒色スコリアからなる堆積物Cが厚く堆積している.
堆積物Bはその岩相および構成物からマグマ噴火とマグマ水蒸気噴火の堆積物の互層であると考えられる.また,土壌の形成速度が一定と仮定した場合,堆積物BはAD1450ごろに噴火によってもたらされたと推定でき,堆積物CはBC600年頃と推定できる.一方,これらの堆積物BおよびCをもたらした噴火の火山灰は北海道日本海沿岸および奥尻島では確認されていない.本調査の結果,渡島大島火山は最近2500年間に歴史時代の2回の噴火を含めて4回の噴火活動を行っていたことが明らかとなった.
なお本研究は科研費基盤研究C課題番号24540447を使用した.
本火山は,1741年以降の黒色スコリアに厚く覆われており,1741年以降の堆積物が確認できる場所が乏しい.3回目の調査では,山頂付近の露頭において山体を広く覆う黒色スコリアの層の下位の地層中に2層の白色細粒火山灰層を確認した.これらは火山ガラスの組成からAD1640年の駒ヶ岳d火山灰(Ko-d)と約AD940の白頭山?苫小牧テフラ(B-Tm)に対比される.
本露頭ではKo-dの上位には土壌層10cmを挟んで1741年以降の噴出物A(淘汰の良い黒色スコリア層)が層厚3m以上堆積している.Ko-dとB-Tmの間には,Ko-dの下位に3cmの土壌層を挟んで,層厚50cmの礫サイズの発泡した新鮮な岩片を含む淘汰の良い降下火砕物層3層と細粒降下火山灰層4層の互層からなる噴火堆積物Bが確認できる.堆積物BとB-Tmの間には8cmの土壌層を挟み,B-Tmの下位は,層厚25cmの土壌層を挟んで,淘汰の良い暗茶褐色スコリアないし黒色スコリアからなる堆積物Cが厚く堆積している.
堆積物Bはその岩相および構成物からマグマ噴火とマグマ水蒸気噴火の堆積物の互層であると考えられる.また,土壌の形成速度が一定と仮定した場合,堆積物BはAD1450ごろに噴火によってもたらされたと推定でき,堆積物CはBC600年頃と推定できる.一方,これらの堆積物BおよびCをもたらした噴火の火山灰は北海道日本海沿岸および奥尻島では確認されていない.本調査の結果,渡島大島火山は最近2500年間に歴史時代の2回の噴火を含めて4回の噴火活動を行っていたことが明らかとなった.
なお本研究は科研費基盤研究C課題番号24540447を使用した.