18:15 〜 19:30
[SVC54-P10] 蔵王火山、馬の背アグルチネート活動期の層序とマグマ組成変化
キーワード:蔵王火山, 馬の背アグルチネート, テフラ層序, マグマ進化
東北日本火山フロント中央部に位置する蔵王火山の最新期活動は、約 3 万年前より始まり現在も継続中である。最新期噴出物は下位から駒草平アグチネート、馬の背アグルチネート、五色岳火砕岩に分類されている。なお、最新期の開始時に山頂付近に長径2 kmのカルデラ (馬の背カルデラ) が形成されている。本研究では、最新期中の約 8~4 千年前の馬の背アグルチネート活動期のテフラおよび火口近傍相の層序を検討した。また、火口近傍相に含まれる火山弾やスコリア組成の時間変化も検討したのでそれらの結果を報告する。
【テフラ層序】 先行研究では馬の背アグルチネート活動期のテフラとしてはZ-To 5 ~8が識別されていた。今回の再検討の結果では Z-To 5 について新たに 5 層 (下位より Z-To 5a, 5b, 5c, 5d, 5e) を識別し、結果として、馬の背アグルチネート活動期のテフラ層は 9 層 (Z-To 5a~8) となった。また、テフラ層の間に挟まれる古土壌またはテフラ層中に含まれる葉片の炭素14年代測定 (AMS法) を基に形成年代について検討を行ったところ、Z-To 5a~8 (Z-To 5は除く) は各々約 8.9, 7.3, 6.0, 5.6, 5.3, 4.7, 3.9, 3.6 ka と推定された。現時点で識別されるテフラは、火口(五色岳付近) から北方においてはZ-To 5a-8で、西方・東方・南方においてはZ-To 5e-7である。
なお、五色岳の北方および南方において、Z-To 5e と 5d の間に白黄色の広域テフラが残存している。本層は主に軽石型の火山ガラスからなる。その火山ガラスの主成分組成は、十和田中掫火山灰 (To-Cu) とほぼ同じである。このテフラが To-Cu に対比されると考えて、層序的にも問題がない。
【火口近傍相】 馬の背カルデラ壁の一部において、馬の背アグルチネート火口近傍相が良く観察できる露頭がある。この露頭の下部は約 3 万年前の駒草平アルグチネートに属する噴出物からなる。この噴出物には、ガラス状光沢を示す火山弾及びスコリア質火山弾が特徴的に含まれている、厚いアグルチネートが認められる。その上位に馬の背アグルチネート活動期の火口近傍相が乗る。ローム層を挟みながら降下スコリア層(火砕サージ層を伴う場合もある)が10枚以上累重している。
【マグマ組成時間変化】 噴出物はカルクアリカリ岩系の安山岩 (56.0-59.2% SiO2) である。斑晶は斜長石と両輝石が主体で、かんらん石が含まれる場合がある。斑晶は塵状包有物を含むなどの溶融組織を持つものが多い。ハーカー図上では一連の直線的な組成変化を示している。また、噴出物のSiO2 量が上位に向かって増加する変化傾向が2回認められた。これは一定の組成をもつ2端成分マグマの混合比が時間と共に変化したことを示唆していると考えられる。
【テフラ層序】 先行研究では馬の背アグルチネート活動期のテフラとしてはZ-To 5 ~8が識別されていた。今回の再検討の結果では Z-To 5 について新たに 5 層 (下位より Z-To 5a, 5b, 5c, 5d, 5e) を識別し、結果として、馬の背アグルチネート活動期のテフラ層は 9 層 (Z-To 5a~8) となった。また、テフラ層の間に挟まれる古土壌またはテフラ層中に含まれる葉片の炭素14年代測定 (AMS法) を基に形成年代について検討を行ったところ、Z-To 5a~8 (Z-To 5は除く) は各々約 8.9, 7.3, 6.0, 5.6, 5.3, 4.7, 3.9, 3.6 ka と推定された。現時点で識別されるテフラは、火口(五色岳付近) から北方においてはZ-To 5a-8で、西方・東方・南方においてはZ-To 5e-7である。
なお、五色岳の北方および南方において、Z-To 5e と 5d の間に白黄色の広域テフラが残存している。本層は主に軽石型の火山ガラスからなる。その火山ガラスの主成分組成は、十和田中掫火山灰 (To-Cu) とほぼ同じである。このテフラが To-Cu に対比されると考えて、層序的にも問題がない。
【火口近傍相】 馬の背カルデラ壁の一部において、馬の背アグルチネート火口近傍相が良く観察できる露頭がある。この露頭の下部は約 3 万年前の駒草平アルグチネートに属する噴出物からなる。この噴出物には、ガラス状光沢を示す火山弾及びスコリア質火山弾が特徴的に含まれている、厚いアグルチネートが認められる。その上位に馬の背アグルチネート活動期の火口近傍相が乗る。ローム層を挟みながら降下スコリア層(火砕サージ層を伴う場合もある)が10枚以上累重している。
【マグマ組成時間変化】 噴出物はカルクアリカリ岩系の安山岩 (56.0-59.2% SiO2) である。斑晶は斜長石と両輝石が主体で、かんらん石が含まれる場合がある。斑晶は塵状包有物を含むなどの溶融組織を持つものが多い。ハーカー図上では一連の直線的な組成変化を示している。また、噴出物のSiO2 量が上位に向かって増加する変化傾向が2回認められた。これは一定の組成をもつ2端成分マグマの混合比が時間と共に変化したことを示唆していると考えられる。