18:15 〜 19:30
[SVC55-P22] 気象レーダーによる2011年新燃岳噴火の噴煙の高さと空振データの関係
キーワード:噴煙高度, 気象レーダー, 空振, 新燃岳
2011年1月26~27日に霧島山新燃岳で発生した連続的な噴火では,気象レーダーによって火山噴煙のエコーが詳細に捉えられている(新堀他、2013).そのエコー頂高度を精査し,噴煙の高さと空振データの関係の考察を開始したので報告する.
火山噴煙からの反射エコー頂高度は,主として種子島と福岡の気象ドップラーレーダー(Cバンド)の合成と,鹿児島空港気象ドップラーレーダー(Cバンド)の2つがある.後者は空港周辺の気象観測という目的から15dBZ程度の閾値(足切り)が設けられているものの,観測時間の間隔は約5分であり前者の10分よりも高分解能である.よって,本解析には鹿児島空港レーダーを用いた.鹿児島空港レーダーは16の仰角に対するPPI観測を5.3分かけて行い,ボリュームスキャンする(非悪天時の空域モード).これらの仰角データから定高度水平断面(CAPPI)データを5.3分に1回作成する.ここでは時刻精度を高めるため各仰角のスキャン時刻にまで戻ることにし,エコー最頂部の仰角高度のスキャン時刻を秒位まで求めた.
一方,噴煙の高さはマグマ噴出率とべき乗関係にあると考えられ,Sparks(1997)は規模の大きな噴火の事例をもとに,噴煙の高さに対する噴出率のべき数は0.259であることを示した.噴出率は空振積分波形と比例関係にある(高木他,2013)とし,エコー頂高度は噴煙の高さを示すとして,新燃岳噴火中のデータからエコー頂高度と空振積分値のべき乗関係を求めた.その結果,新燃岳火口から南東3.1kmの空振観測点(KITK)のデータでは,べき数は0.55と求まった.その時の残差を最も小さくする空振データの遅延時間と時間窓を求めたところ,エコー検知時刻より4分早く,それから前6分間の空振データの場合であることがわかった.
これらの結果は噴煙の高さや上昇速度に支配されている可能性もあり,更に時間的に高分解能なエコー頂を測定できれば,噴煙のダイナミクスを空振データでモニタリングできる可能性がある.他の観測点データも含め,さらなる精査が必要である.
謝辞
鹿児島DRAWの解析には,田中恵信氏・鈴木修氏により気象研究所で開発され,山内洋氏・佐藤英一氏らにより改良された「Draft」を使用しました.この場を借りてお礼申し上げます.
火山噴煙からの反射エコー頂高度は,主として種子島と福岡の気象ドップラーレーダー(Cバンド)の合成と,鹿児島空港気象ドップラーレーダー(Cバンド)の2つがある.後者は空港周辺の気象観測という目的から15dBZ程度の閾値(足切り)が設けられているものの,観測時間の間隔は約5分であり前者の10分よりも高分解能である.よって,本解析には鹿児島空港レーダーを用いた.鹿児島空港レーダーは16の仰角に対するPPI観測を5.3分かけて行い,ボリュームスキャンする(非悪天時の空域モード).これらの仰角データから定高度水平断面(CAPPI)データを5.3分に1回作成する.ここでは時刻精度を高めるため各仰角のスキャン時刻にまで戻ることにし,エコー最頂部の仰角高度のスキャン時刻を秒位まで求めた.
一方,噴煙の高さはマグマ噴出率とべき乗関係にあると考えられ,Sparks(1997)は規模の大きな噴火の事例をもとに,噴煙の高さに対する噴出率のべき数は0.259であることを示した.噴出率は空振積分波形と比例関係にある(高木他,2013)とし,エコー頂高度は噴煙の高さを示すとして,新燃岳噴火中のデータからエコー頂高度と空振積分値のべき乗関係を求めた.その結果,新燃岳火口から南東3.1kmの空振観測点(KITK)のデータでは,べき数は0.55と求まった.その時の残差を最も小さくする空振データの遅延時間と時間窓を求めたところ,エコー検知時刻より4分早く,それから前6分間の空振データの場合であることがわかった.
これらの結果は噴煙の高さや上昇速度に支配されている可能性もあり,更に時間的に高分解能なエコー頂を測定できれば,噴煙のダイナミクスを空振データでモニタリングできる可能性がある.他の観測点データも含め,さらなる精査が必要である.
謝辞
鹿児島DRAWの解析には,田中恵信氏・鈴木修氏により気象研究所で開発され,山内洋氏・佐藤英一氏らにより改良された「Draft」を使用しました.この場を借りてお礼申し上げます.