18:15 〜 19:30
[SVC55-P23] 2013年8月18日桜島昭和火口噴火にともなって九州を伝播した長周期地震波
桜島火山の昭和火口は、2006年に58年ぶりに活動を再開し、現在、年1000回以上の噴火を起こしている。中でも、2013年8月18日16時31分の噴火は、昭和火口史上極めて大規模な噴火であり、噴煙の高度は約5000mに達した。本研究では、この噴火時に九州全域にわたって伝播した長周期地震波を基盤的地震観測網(F-net、Hi-net)で捉え、その特徴を調べた。
噴火に伴って、長周期地震動が、広帯域地震観測網F-netによって、奄美大島から九州全域にわたる広い範囲で観測された。周期5秒以上の長周期の地震波が卓越しており、九州南部から約2.75km/sのみかけ速度で伝播するようすが見られる。波は3成分いずれでも確認できる。この長周期に卓越する地震波は、より稠密な観測点をもつHi-net傾斜計データにおいても見ることができた。桜島に最も近い姶良観測点(AIRH)で最も早い時刻に観測され、F-netで観測されたものと同様のみかけ速度で遠方の観測点へ伝播していったことから、この長周期の地震波は桜島から伝播したものと考えられる。桜島昭和火口を震央として、F-netとHi-netで観測された水平2成分のデータを、radial成分とtransverse成分に回転したところ、長周期地震波の伝播は、radial成分とtransverse成分のいずれでも明瞭にみることができた。波のみかけ速度は、radial成分に比べてtransverse成分で若干はやく、transverse成分、radial成分にみられる振動は、Love波、Rayleigh波と思われる。
桜島の過去の噴火において同様の長周期地震波が観測されるか、F-netのデータを調べた。2006-2013年の5057噴火のうち、噴煙量・高度と沈降容量の値が大きい43噴火について調べたところ、2013年8月18日噴火以外にも、南岳火口噴火を含む5噴火で長周期地震波の伝播をみつけた。ただし、この5噴火でみられた長周期地震波の伝播は、火口からの距離150-331kmまでであり、2013年8月18日噴火時ほど遠方まで確認できるものはなかった。8月18日の噴火が長周期地震波の励起に長けていた可能性がある。一方、長周期地震波の出現と、噴煙量・高度や沈降容量との間に、明瞭な関係は見いだせなかった。
2013年8月18日噴火に伴った長周期地震波は、radial成分だけではなく、transverse成分においても顕著に揺れていた。これは2013年8月18日の噴火に限らず、F-netで長周期地震波の伝播が確認できた、南岳火口噴火を含む5噴火でもみられた。これまで、桜島南岳火口噴火の力学モデルとして、等方膨張や鉛直方向にのびる円筒の収縮が主張されてきた(Uhira and Takeo, 1994; Tameguri et al., 2002)。しかし、これら等方膨張や鉛直円筒の収縮ではLove波が励起されない。本研究でみつけたLove波と思われるtransverse成分の揺れを説明するモデルについて、今後検討が必要と考えられる。
噴火に伴って、長周期地震動が、広帯域地震観測網F-netによって、奄美大島から九州全域にわたる広い範囲で観測された。周期5秒以上の長周期の地震波が卓越しており、九州南部から約2.75km/sのみかけ速度で伝播するようすが見られる。波は3成分いずれでも確認できる。この長周期に卓越する地震波は、より稠密な観測点をもつHi-net傾斜計データにおいても見ることができた。桜島に最も近い姶良観測点(AIRH)で最も早い時刻に観測され、F-netで観測されたものと同様のみかけ速度で遠方の観測点へ伝播していったことから、この長周期の地震波は桜島から伝播したものと考えられる。桜島昭和火口を震央として、F-netとHi-netで観測された水平2成分のデータを、radial成分とtransverse成分に回転したところ、長周期地震波の伝播は、radial成分とtransverse成分のいずれでも明瞭にみることができた。波のみかけ速度は、radial成分に比べてtransverse成分で若干はやく、transverse成分、radial成分にみられる振動は、Love波、Rayleigh波と思われる。
桜島の過去の噴火において同様の長周期地震波が観測されるか、F-netのデータを調べた。2006-2013年の5057噴火のうち、噴煙量・高度と沈降容量の値が大きい43噴火について調べたところ、2013年8月18日噴火以外にも、南岳火口噴火を含む5噴火で長周期地震波の伝播をみつけた。ただし、この5噴火でみられた長周期地震波の伝播は、火口からの距離150-331kmまでであり、2013年8月18日噴火時ほど遠方まで確認できるものはなかった。8月18日の噴火が長周期地震波の励起に長けていた可能性がある。一方、長周期地震波の出現と、噴煙量・高度や沈降容量との間に、明瞭な関係は見いだせなかった。
2013年8月18日噴火に伴った長周期地震波は、radial成分だけではなく、transverse成分においても顕著に揺れていた。これは2013年8月18日の噴火に限らず、F-netで長周期地震波の伝播が確認できた、南岳火口噴火を含む5噴火でもみられた。これまで、桜島南岳火口噴火の力学モデルとして、等方膨張や鉛直方向にのびる円筒の収縮が主張されてきた(Uhira and Takeo, 1994; Tameguri et al., 2002)。しかし、これら等方膨張や鉛直円筒の収縮ではLove波が励起されない。本研究でみつけたLove波と思われるtransverse成分の揺れを説明するモデルについて、今後検討が必要と考えられる。