18:15 〜 19:30
[SVC55-P24] 繰り返し海底地震観測による桜島火山周辺のVT地震活動域と上部地殻3次元地震波速度モデルとの比較
キーワード:桜島火山, VT地震, 3次元地震波速度モデル
桜島火山では,火山活動に伴うVT地震が周辺海域下においても発生する(Hidayati, et al., 2007).周辺海域下で発生する微小なVT地震を検出し,その震源精度を向上させるためには,既設の陸上地震観測に加えて,海底地震計(Ocean Bottom Seismograph,以下OBSと記す)を用いた観測が不可欠である.著者らは2009年以降,OBSを桜島火山の周辺海域の同一位置に繰り返し投入し,2~3ヵ月長の自然地震観測を5回実施した.本講演では,これまでのOBS観測で得られた,桜島火山の周辺海域下のVT地震の活動域についてまとめる.さらに,VT地震の活動域についての知見を得るために,VT地震の震源分布とトモグラフィ解析による上部地殻内3次元速度モデルと比較した.
これまで実施したOBS観測で得られたVT地震活動について,その活動域は次のようにまとめられる.1) 若尊カルデラ下でepisodic に浅発VT地震が発生する.そのほとんどは深さ5 km以浅で発生する.2) 桜島北東海域(若尊カルデラ~桜島東部にかけての領域)の深さ5 ~10 km にVT地震が発生する.地震数は少ないものの,定常的な活動の可能性がある.3) 姶良カルデラの西側半分下ではVT地震の発生は認められない.
一方で著者らは,九州中南部の広域地震観測網データ(米良・他, 2013)を用い,桜島火山周辺の上部地殻3次元地震波速度モデルの暫定解を求めた.本解析の結果が信頼できる深さ範囲はおよそ5~12 kmと推定される.深さ6 km以浅では,鹿児島湾奥部の若尊カルデラ付近がLow-Vp (5.3~5.4 km/s), Low-Vs (3.0~3.1 km/s)である.6km 以深では,深くなるにつれて低速度のピークが,より南西側(桜島火山側)に位置する傾向が認められる.深さ10 kmにおいて,低速度のピークは,桜島北東沖(新島付近)下に位置し,Vp=5.4~5.5 km/s, Vs=3.1~3.2 km/sである.これらの特徴の他,深さ6 km以浅及び深さ12km以深においては,桜島南岸から桜島南方海域にかけて領域に広がるLow-Vsが際立つ.
5回のOBS観測のうち,湾奥部の3観測点全てでデータを取得できた3回のOBS観測で得られたVT地震と3次元速度分布を比較した.その結果,VT地震は高速度領域と低速度領域の間の中間的な速度の場で発生する.加えて,低速度領域のピークの直上でも発生することが分かった.高速度領域や低速度領域が相対的に歪の集中しにくい領域であることを示唆するかもしれない.また低速度のピークの直上でのVT地震発生は,火山性流体の存在による間隙流体圧の増加や応力変化を反映することが考えられる.
これまで実施したOBS観測で得られたVT地震活動について,その活動域は次のようにまとめられる.1) 若尊カルデラ下でepisodic に浅発VT地震が発生する.そのほとんどは深さ5 km以浅で発生する.2) 桜島北東海域(若尊カルデラ~桜島東部にかけての領域)の深さ5 ~10 km にVT地震が発生する.地震数は少ないものの,定常的な活動の可能性がある.3) 姶良カルデラの西側半分下ではVT地震の発生は認められない.
一方で著者らは,九州中南部の広域地震観測網データ(米良・他, 2013)を用い,桜島火山周辺の上部地殻3次元地震波速度モデルの暫定解を求めた.本解析の結果が信頼できる深さ範囲はおよそ5~12 kmと推定される.深さ6 km以浅では,鹿児島湾奥部の若尊カルデラ付近がLow-Vp (5.3~5.4 km/s), Low-Vs (3.0~3.1 km/s)である.6km 以深では,深くなるにつれて低速度のピークが,より南西側(桜島火山側)に位置する傾向が認められる.深さ10 kmにおいて,低速度のピークは,桜島北東沖(新島付近)下に位置し,Vp=5.4~5.5 km/s, Vs=3.1~3.2 km/sである.これらの特徴の他,深さ6 km以浅及び深さ12km以深においては,桜島南岸から桜島南方海域にかけて領域に広がるLow-Vsが際立つ.
5回のOBS観測のうち,湾奥部の3観測点全てでデータを取得できた3回のOBS観測で得られたVT地震と3次元速度分布を比較した.その結果,VT地震は高速度領域と低速度領域の間の中間的な速度の場で発生する.加えて,低速度領域のピークの直上でも発生することが分かった.高速度領域や低速度領域が相対的に歪の集中しにくい領域であることを示唆するかもしれない.また低速度のピークの直上でのVT地震発生は,火山性流体の存在による間隙流体圧の増加や応力変化を反映することが考えられる.