日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-01_1AM2] Forum for Global Data Sciences in Earth and Planetary Research

2014年5月1日(木) 11:00 〜 12:45 419 (4F)

コンビーナ:*村山 泰啓(独立行政法人 情報通信研究機構)、小池 俊雄(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻)、大石 雅寿(国立天文台天文データセンター)、喜連川 優(東京大学生産技術研究所)、柴崎 亮介(東京大学空間情報科学研究センター)、渡辺 堯(名古屋大学太陽地球環境研究所)、座長:小池 俊雄(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻)、村山 泰啓(独立行政法人 情報通信研究機構)

12:30 〜 12:45

[U01-13] DIASの運用体制の設計・提案

西村 一1、*角田 晋也1小池 俊雄2福田 徹3野尻 幸宏4 (1.独立行政法人海洋研究開発機構、2.東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻、3.宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター、4.国立環境研究所 地球環境研究センター)

キーワード:DIAS, 運用, 設計

DIAS(データ統合・解析システム、Data Integration and Analysis)は、様々な分野の利用者(ステークホルダー)が協働して地球観測データ、気候変動予測データ、社会・経済データ等、超大容量で多様なデータ・情報を利活用し、資源管理、生物多様性、自然災害など、地球環境に関わる社会的課題に対し、適応策やレジリアントな社会形成に向けた情報を提供し、新たな科学知や公共的利益を創出する。それによって新たなイノベーションや社会の成長を牽引する社会インフラとなることを目指している。2011年度よりDIAS第Ⅱ期計画として「地球環境情報統融合プログラム」(DIAS-P) が開始されており、その課題の一つとして、上記目的の実現に必要な科学的先端性を持続的に発揮し、実利用によって公共的利益を実現できる運用体制(実運用DIAS)について、海洋研究開発機構が中心となって、東京大学EDITORIA、宇宙航空研究開発機構および国立環境研究所との協力の下で設計し、文部科学省に提案することとしている。その設計作業のベースとして、実運用DIASが果たすべき役割を示す暫定的なレファレンスモデルを設定した。この概要は以下の通りである。このレファレンスモデルに示されたようなインフラや体制は実現すれば世界初のものとなろう。このレファレンスモデルは、関係者のニーズを反映しつつ、設計作業の進捗に伴って毎年度見直される。DIASは、さまざまな地球観測データのほか、実利用化ワークベンチ(各分野のステークホルダーの協働のもと、多様なデータ・情報を統融合し、公共的利益を創出するための情報基盤)および機能向上パートナーシップ(DIASの機能を持続的に向上するとともに新たな科学知を創出するための協働組織)を通じて得られるデータ(分野特有の観測データ、社会・経済データ、農・水産業活動に係るデータ、土地利用・土地被覆データ、道路・港湾などの交通ネットワークデータ、地形データ、災害発生データ、その他)を提供し流通させる統合ポータルとして、これらのメタデータを統合的に管理・公開する。アーカイブ自体が研究成果として認知されるような状況をいかにして創り出すかも今後の検討課題となる。DIASのコアインフラは、データをアーカイブするための大容量ストレージおよびデータを解析・統融合するための解析空間や解析ツールからなる。いずれも大規模データを取り扱えるものとする。DIASは、防災、資源管理などの政策決定者(国内および途上国)を主たるユーザーとして想定するが、DIASの統融合データや解析機能を実際に主として使用するのは、施策担当者(decision maker)に判断材料を提供する研究者(科学コミュニティ)や、実利用化ワークベンチにおいて協働する関係者とする。また、DIASデータポータルへのアクセスを通じて、エンドユーザー、市民活動グループ、民間サービスその他もユーザーとして想定する。 実利用化ワークベンチでは、ニーズによって、必要な気候・気象・海洋データの分解能が異なるので、ダウンスケーリングなどによって、求められるデータを作成する。公開が制限されているデータの利用を実利用化ワークベンチのドメイン研究者等が希望する場合は、そのための許認可手続きも実運用DIASが支援・代行し、さらには「こんなデータを探してもらいたい」という要望にも対応する。実利用化ワークベンチは、エンドユーザーのニーズを把握した上で、継続的にプロトタイピングを行うとともに、成功事例の経験・ノウハウを積み重ねつつ段階的に対象範囲を拡大する。実利用化ワークベンチのプロトタイピング段階においては各利用分野の研究者、関係府省、自治体等と協働して有用な政策ツールを開発する。さらに、DIASは開発済みワークベンチの社会実装を支援し、他分野に展開するための普及・広報も行う。以上の目的のため、オープンソースを用いて遠隔協働システムubiDIASを開発し,各種ポリシー及び国連の持続可能な開発目標を調査・検討した。