日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-02_28PO1] Particle Geophysics

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*田中 宏幸(東京大学地震研究所)、渡辺 寛子(東北大学ニュートリノ科学研究センター)、Cristiano Bozza(U-Salerno)、Dominique Gibert(IPGParis)、William McDonough(U-Maryland)、John Learned(U-Hawaii)

18:15 〜 19:30

[U02-P10] 方向検出のためのリチウム液体シンチレーターの開発

*白旗 豊1 (1.東北大ニュートリノ科学研究センター)

キーワード:地球ニュートリノ

現在の液体シンチレータを用いた電子型反ニュートリノの検出では、陽子による逆β崩壊反応により放出される陽電子と中性子の遅延同時計測によって強力なバックグラウンド除去を行うことが出来る。そしてそれによって低エネルギー領域での電子型反ニュートリノの観測を行うことが可能となっている。
その反面現存する検出器では水チェレンコフ法のように電子型反ニュートリノの飛来方向を知ることが出来ない。しかし、陽電子の反応点と中性子の捕獲点を観測することによって電子型反ニュートリノの飛来方向を知ることは可能である。低エネルギーにおけるニュートリノの飛来方向の観測が可能になればニュートリノを観測対象ごとに区別することができるようになり、従来の観測よりもさらに高い精度での観測が出来ると期待される。
液体シンチレータによって電子型反ニュートリノの飛来方向を検出するためには、次の三つの問題を解決することが重要である。それは方向情報を失う前に中性子を捕獲すること、中性子捕獲反応点で発光現象を起こすこと、そしてその発光点を高い位置分解能で検出する装置を作ることである。
現在の液体シンチレータでは逆β崩壊により放出される熱中性子が陽電子により捕獲されるまでに平均200μsかかり、陽電子によって捕獲された際に放出されるエネルギーは2.2MeVのγ線となってしまう。これでは、放出される熱中性子は十数cm拡散し位置情報はぼやけてしまい、2.2MeVのγ線は約40cmも移動するために中性子吸収点を特定することが出来なくなってしまう。今回、この問題を解決するために中性子捕獲断面積が940barnで陽子の0.3barnに比べて非常に大きく、中性子捕獲時に液体シンチレータ中を長距離移動出来ないα線を放出する6Liを導入した液体シンチレータを開発した。この新しい液体シンチレータにより上記の二つの問題点を解決し、同時に開発中である高い位置分解能で発光点を検出する装置と組み合わせることによって電子型反ニュートリノの飛来方向を検出することが出来ると期待される。
本講演では独自の方法で開発したリチウム含有液体シンチレータについて講演する。