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[U04-02] 航空機を利用した大気中温室効果ガスの長期観測
キーワード:温室効果ガス, 航空機, 二酸化炭素, 長期観測, 対流圏
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの将来濃度を正確に予測するためには、これらのガスの全球循環を定量的に理解する必要がある。大気中温室効果ガスの空間分布や時間変動の把握は、地球表層からの発生量・吸収量の推定誤差を低減するための方法の一つである。しかしながら世界には未だにいくつかの大気観測の空白域が存在し、特に上空の観測は地上での観測に比べて極めて少ないのが現状である。航空機は対流圏から下部成層圏までの高度における大気成分を観測する上で最も信頼のおける手法の一つである。大気中温室効果ガスの三次元分布や時間的な変動を明らかにすることを目的として、いくつかの観測計画が実施されている。東北大学はチャーター機と定期航空便を利用して日本上空200mから10000mにおけるCO2濃度の観測を1979年から現在まで続けている。ここで得られた結果は上空のCO2濃度データとしては世界最長の記録である。同じく東北大学は日本航空(JAL)が運航するシドニーー成田間と成田―アンカレジ間で上部対流圏におけるCO2濃度の緯度分布観測を1984年から1985年にかけて実施した。JALの航空機を利用した日豪間の観測は気象研究所(MRI)によって自動大気サンプリング装置(ASE)を使って1993年に再開された。2005年にはJALの観測を継続発展し、改良型ASEと二酸化炭素濃度自動測定装置(CME)を使ったCONTRAILプロジェクトが国立環境研究所と気象研究所によって開始された。新旧のASEで観測された日豪間の上部対流圏におけるCO2濃度の時系列を図に示す。CONTRAILのCMEは上空における世界のCO2濃度データを飛躍的に増やすことに成功し、これらのデータは炭素循環の解明ばかりでなく、全球の大気循環、モデルの検証、衛星観測の検証などに利用されている。日本において観測専用の航空機を導入した際には、上述の技術や装置を利用して大気中温室効果ガスを長期的に観測できる体制の構築を提案する。