日本地球惑星科学連合2014年大会

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[U-04_29PO1] 最新の大気科学:航空機による大気科学・地球観測研究の展開

2014年4月29日(火) 14:00 〜 15:15 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター )、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院 )、紺屋 恵子(海洋研究開発機構 地球環境変動領域 )、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所 )、安藤 寿男(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース )、座長:原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター )、久利 美和(東北大学災害科学国際研究所)、山田 耕(早稲田大学政治経済学術院 )、紺屋 恵子

14:00 〜 15:15

[U04-P03] 航空機搭載ライダーによる水蒸気分布観測

*阿保 真1長澤 親生1柴田 泰邦1内野 修2永井 智広2酒井 哲2柴田 隆3 (1.首都大学東京、2.気象研究所、3.名古屋大学)

キーワード:水蒸気, 航空機搭載, ライダー

大気中の水蒸気は、熱や水循環を通して気象・気候に重要な役割を演じている。また、二酸化炭素などの増加に伴う地球温暖化によって大気中の水蒸気がどのように変化していくかを監視していくことは気候の将来予測を行う上で重要である。水蒸気の観測は現在ゾンデや衛星から広く行われているが、飛翔体搭載ライダーを用いればさらに高い高度分解能で広範囲の水蒸気分布の観測が可能となる。我々は最終的には衛星搭載を目指した航空機搭載水蒸気差分吸収ライダーの開発を行い、1999年に実際に航空機に搭載し測定実験を行った。開発されたライダーは当時世界最高性能のものであった。
ライダーの心臓部となるレーザーとして、水蒸気吸収の強いものと弱いもの、それに吸収しない820 nm付近の3波長のレーザーを1.2 ms間隔で発振でき、それらトリプルパルスを50 Hzで送信できるLD(レーザーダイオード)励起Nd:YLFレーザー(平均出力50 W)のSHG (平均出力30 W、200mJ、150 Hz) で励起されたTi:sapphireレーザーを開発した[1]。光音響セルを利用して水蒸気の吸収線に同調した単一モードのLDをリング型共振器で構成されたTi:sapphireレーザーに注入同期して、スペクトル幅0.045 pm、スペクトル安定度0.06 pm、平均出力6.8 W(パルス当たり45 mJ)を得た。
開発したレーザーを航空機に搭載して実験を行った。受信望遠光の口径は20 cmで検出器にはAPDを用いた。送信、受信の視野はそれぞれ0.8、1.6 mradで、干渉フィルターの半値全幅0.6 nmであった。観測は名古屋・東京・つくば上空を含む往復で行った。航空機搭載ライダーで測定された水蒸気分布と名古屋大学で同期観測されたラマンライダーによる水蒸気分布はよい一致を示した。
 当時は励起用LDの寿命が短いのが難点であったが、15年経った今では、LDの技術も進んでおり、よりコンパクトで長寿命の航空機搭載水蒸気ライダーシステムの実現が可能である。
参考文献
[1] Yanagisawa, T., M. Imaki, Y. Hirano, O. Uchino, T. Nagai and C. Nagasawa, Int. Laser Sensing Symposium , 20th Japanese Laser Sensing Symposium, 191(1999)
[2] Nagai, T., O. Uchino, C. Nagasawa, T. Igarashi, T. Nakajima, Y. Hirano, S. Ueno and S. Wakabayashi, Int. Laser Sensing Symposium, 20th Japanese Laser Sensing Symposium, 211(1999)