日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

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[U-06_28PM1] 太陽系小天体研究の新展開

2014年4月28日(月) 14:15 〜 16:00 503 (5F)

コンビーナ:*荒川 政彦(神戸大学大学院理学研究科)、中本 泰史(東京工業大学)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)、座長:安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

14:55 〜 15:15

[U06-14] 原始惑星系円盤における複雑な有機分子生成モデル

*野村 英子1 (1.東京工業大学)

キーワード:原始惑星系円盤, 有機分子生成

原始惑星系円盤における化学反応は、太陽系内物質の起源に繋がると考えられる。近年、星間雲の電波遷移線観測により、複雑な有機分子が新たに発見されている一方で、太陽系内の彗星や隕石にもアミノ酸などが見つかっている。本研究では、星間雲における有機分子生成モデルを原始惑星系円盤の温度・密度構造に適用し、円盤における複雑な有機分子生成について議論した。具体的には、中心星からの照射を考慮した円盤温度・密度構造モデルをもとに、星間塵表面反応も含めた化学反応ネットワーク計算を行った。その結果、円盤外縁の低温部の星間塵上においては水素付加反応による分子生成が進むのに対し、円盤半径十~数十AU付近の暖かな領域においては、星間塵上のラジカル同士の反応による、さらに複雑な有機分子生成が進むことを示した。我々の分子存在量の計算結果を彗星からの有機分子輝線観測の結果と比較したところ、良い一致を示した。また、中心星からの紫外線により塵表面から脱離した分子をALMAで観測することにより、円盤内の塵表面反応の観測的検証の可能性を示唆した。講演ではさらに、小惑星帯における有機物生成についても議論したい。