日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

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[U-06_28PM2] 太陽系小天体研究の新展開

2014年4月28日(月) 16:15 〜 17:56 503 (5F)

コンビーナ:*荒川 政彦(神戸大学大学院理学研究科)、中本 泰史(東京工業大学)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)、座長:石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)

17:35 〜 17:50

[U06-23] ナノ秒パルスレーザー照射実験による宇宙風化作用において硫化鉄の果たす役割の検証

*岡崎 瑞祈1佐々木 晶1廣井 孝弘2 (1.大阪大学理学研究科、2.ブラウン大学)

キーワード:宇宙風化作用, 硫化鉄, レーザー照射実験, 小惑星, イトカワ

大気のない天体表面が、 太陽風や微小隕石の衝突などにより見た目の色や明るさが変化していく現象を宇宙風化作用という。存在度から普通コンドライトはS型小惑星由来と考えられているが、スペクトルは一致せず、S 型小惑星はスペクトルが赤化・暗化・吸収帯が弱くなっているいうことが議論されてきた。宇宙風化作用を受けた鉱物表面には、ナノ鉄微粒子が生成していることが月のソイルからも見られているが、ナノ秒パルスレーザーを鉱物表面に照射するとナノ鉄微粒子を実験的に生成することができ、宇宙風化作用のスペクトル変化を再現出来る。 また、はやぶさが小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の宇宙風化された表面の電子顕微鏡観察・元素分析から、ナノ鉄微粒子を含むアモルファス層の外側に硫化鉄のナノ微粒子を含む層が発見された。また別に数10μmサイズの硫化鉄の結晶も見つかっており、硫黄に関して興味深い事実が明らかになっている。ここから、硫黄は揮発性に富むため天体表面で起こる宇宙風化作用に関係があるのではと推測し、パルスレーザーを用いて風化させ分光装置でスペクトルをとる室内実験を行った。粒子サイズ45~75μmのカンラン石、輝石に同サイズの硫化鉄を10%、20%混ぜたペレットを作成しナノ秒パルスレーザーを照射してスペクトル 変化を引き起こした。また対照実験として同サイズの鉄を10%、20%混ぜたものや、粒子サイズ45μm以下の硫化鉄を混ぜたものでも実験を行った。その結果から、硫黄が含まれる場合は、スペクトルが赤化も強く、また近赤外領域も暗化していることが確認された。鉄のみが含まれる場合は赤化は見られるものの暗化は見られないのに対し、硫化鉄が含まれる場合では赤化に加え、レーザー照射前に比べ20%の暗化も見られた。これまで赤化に注目されてき た宇宙風化作用だが、硫化鉄が加わった場合では暗化も見られ、風化が強まることが確認できた。赤化に関してはナノ鉄(もしくは硫化鉄)微粒子の存在が考えられるが、 全体的な暗化に関しては検討中である。図: パルスレーザーを照射したサンプル