[U-06_28PO1] 太陽系小天体研究の新展開

[U06-P10] 鉄隕石衝突破壊強度の試料サイズ依存性

桂 武邦¹、*中村 昭子¹、高部 彩奈¹、岡本 尚也¹、三軒 一義¹、長谷川 直²、Liu Xun³、真下 茂³ (1.神戸大学大学院理学研究科、2.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、3.熊本大学パルスパワー研究所)

キーワード：小天体, 鉄隕石, 衝突過程

鉄隕石やM型小惑星のいくつかは、分化した微惑星のコアや始原天体にできたメルトプールを起源としていると考えられる。鉄が分化してから鉄隕石が惑星間空間に衝突で放出されるまでの間、鉄質の天体は、質量や温度や衝突速度が異なる様々な衝突過程を経験したと考えられる。
本研究では、常温で、数 mm から数 cm の鉄隕石を弾丸もしくは標的とする衝突破壊実験を、衝突速度数100 m/s から数 km/s の範囲で行った。一つの例外を除き、鉄隕石試料のほうが衝突対象試料より小さい条件で実験を行った。結果の比較のために、スチールの衝突破壊実験も行った。
鉄隕石試料やスチール試料の破片サイズ分布は、岩石のものとは異なり、その展延性のために細かい破片が少ないことが示された。また、最大破片質量割合は、弾丸の運動エネルギーを系の質量で割ったエネルギー密度だけでなく、試料のサイズにも依存することが示された。我々は、鉄隕石の動的強度が試料サイズに対してべき乗依存性を持つと仮定した。この動的強度を用いて初期発生圧力を規格化したところ、最大破片質量割合は、規格化された初期発生圧力の－2乗に依存することが示された。さらに、鉄隕石試料やスチール試料の圧縮変形度合も、動的強度で規格化された初期発生圧力を用いて整理できることが示された。

本研究は宇宙科学研究所のスペースプラズマ共同利用と、熊本大学パルスパワーGCOEプログラムにより支援を受けました。