日本地球惑星科学連合2014年大会

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[U-06_28PO1] 太陽系小天体研究の新展開

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*荒川 政彦(神戸大学大学院理学研究科)、中本 泰史(東京工業大学)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)

18:15 〜 19:30

[U06-P23] 小惑星天体を形成する多状態混合固化物質

*三浦 保範1 (1.国内外大学)

キーワード:小惑星, 固化集合体, 非晶質固化, 流体, イオン衝撃実験, ミクロ疑似体物質

本研究は次のようにまとめられる。

1) 小惑星の研究は、地球内外天体の創成期物質のでき方に貴重な情報を提供してくれる。

2) 小惑星の表層物質は地球の固体岩石鉱物の集積で考えられているが、地球の鉱物結晶と同じ物質同定法を使うのでわかりにくい。しかし小惑星物質は多状態を混合した非晶質を含む固体化物質である。

3) 小惑星天体は、衝突溶融形成により非球形表面で形成されているのは、微粒子衝突で不均質不規則分布から推察できる。

4) 小惑星の多状態含有固体物質の内部分布と保存などにより、衝突孔内部に流体質の特徴が観察される可能性がある。

5) 小惑星起源隕石が地球岩石と形成が異なることがイオン衝撃実験でわかる。地球の多層に分かれる結晶質岩石(マグマ溶融)物質は、かたいケイ酸塩構造が形成されているので、最初にイオン衝撃で発生するのはアルカリイオン(Na,K,Ca)が多い。小惑星表面の岩石は、衝突熱の形成のため、イオン衝撃で脆弱なケイ酸(Si,Al)が破壊されやすく高い発生になることが多い。

6) 地球の衝突岩石は、原岩のケイ酸構造がかたいので地球の深成岩と同じイオン衝撃の形式を示すことが多い。主な差異はマクロな破砕組織でなく、高温からの急冷か徐冷による原子結合の軟弱か均質強化の違いである。

7) 小惑星の岩石は無大気・無水天体であるので、直接に衝撃形成された多状態含有固体相と衝突しながら多状態が媒体となって粒子が増大する、「衝突進化物質」を示す。

8) 地球創成期は小惑星と同じ衝突形成で不規則表面が地球に残存している。内部の軽元素流体が大量に放出し(巨大衝突)、大気から凝固した海水層を形成する三状態圏の循環層を示すのでマクロ生命体が発生している。小惑星には三状態循環圏が全体でないので、局所的な状態変化によるミクロ疑似物質が高解像度電子顕微鏡でその場観察または地球への持ち帰り試料観察される。

9)小惑星の多状態含有固体物質は液体・気体分子が固結時に非晶質化した固体で、容易に人工的衝撃で離脱して固体化部分を異常に強調した物質を観察することになるので、現地でのその場の衝撃試料回収は避けるべきである。