日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

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[U-07_1PM2] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2014年5月1日(木) 16:15 〜 18:00 501 (5F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、安成 哲三(総合地球環境学研究所)、植松 光夫(東京大学大気海洋研究所)、座長:植松 光夫(東京大学大気海洋研究所)

16:35 〜 16:55

[U07-14] Future Earth の視点から見た国際地学オリンピック

*瀧上 豊1久田 健一郎2 (1.関東学園大学、2.筑波大学生命環境科学研究科)

キーワード:地学オリンピック

Future Earth ―持続的な地球 を考える上で、大切なことは地球全体を知ることと国際的な協力であろう。地球全体を知る学問は地学(地球科学)であり、その国際的なcompetitionである国際地学オリンピックはFuture Earthとどのような結びつきがあるのだろうか?本講演はその視点から国際地学オリンピックを眺めてみる。 国際地学オリンピック(IESO)とは高校生のための国際科学オリンピックの1つで2007年第1回韓国大会から2008年フィリピン、2009年台湾、2010年インドネシア、2011年イタリア、2012年アルゼンチン、2013年インドと毎年開催されている。参加国数もはじめの6カ国程度から20カ国以上になり、2016年には日本の三重県で開催予定である。 この地学オリンピック事業のなかでFuture Earthと大きく関連しているものをあげてみたい。 1)国際協力野外調査(ITFI)   国際地学オリンピックの他の科学オリンピックとの大きな違いはこのITFIにあると思う。これは1カ国4名の参加高校生がバラバラになり、各国混合で5-6名のチームを作り野外調査を行い、その結果をまとめてプレゼンする企画である。個人のメダル対象の企画ではないが、その作業は各国の生徒同士が英語で相談しながら進めていく。内容は地学の内容だけでなく、地域の生活との結びつきに関連した事柄がテーマになることもある。若者にとって、このような国際共同作業は将来Future Earthを考えていく上で、貴重な体験になると予想できる。 2)参加国の増加  日本の地学みたいに地球科学の全分野を学習している国は少ない。しかし、参加国が増加していく傾向は、将来の地球全体にわたる環境問題などを考える上で、各国が地球科学の重要性を理解していることが1つの理由と考えられる。 3)国際大会の問題  国際大会の問題は地質・固体地球、気象・海洋、天文・惑星の3分野に分かれているが、複合問題の出題が、現在、検討されている。このこともFuture Earthを考えるうえで、重要なことと考えられる。なお、2016年の日本大会では、Future Earthを意識した、複合問題を積極的に出したいと、個人的には考えている。 4)日本の状況  地学が主要な大学理系受験科目でないために、地学オリンピックの受験者の約半分は文系であり、女子生徒も約30%いる。また、国際大会参加OBは地球科学だけでなく法学部や文学部、医学部へも進学している。このことは将来あらゆる分野の人がFuture Earthを考える下地を持っていることになる。理想的にはすべての高校生が地学オリンピックを受験してくれるのが望ましいことであるが、日本の高校地学の履修率は他の3つの理科科目に比べて少ないのが残念である。このように、地学(地球科学)を学び、地学オリンピックに参加することは、人間を含む地球全体を考えていくことが必要である地球の未来(Future Earth)にとって、とても重要なことだと考える。