日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

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[U-08_2PM1] 連合は環境・災害にどう向き合っていくのか?

2014年5月2日(金) 14:15 〜 15:15 メインホール (1F)

コンビーナ:*松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、石原 正仁(京都大学学際融合教育研究推進センター極端気象適応社会教育ユニット)、小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、座長:須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)

14:15 〜 14:30

[U08-15] 東日本大震災の教訓と減災に向けての研究展望

*今村 文彦1 (1.東北大学災害科学国際研究所)

キーワード:災害科学, 東日本大震災

2011年3月11日14時46分,東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波により,東日本は甚大な被害を受けました.この時,2万人近くの人々が犠牲となり,家屋・建物,社会インフラ,生態系や景観へも大きな影響を与えました.さらに,福島第一原子力発電所の爆発事故も発生し,人類がいまだ経験の無い広範囲にわたる複合災害が発生した. 東日本大震災の被害実態と教訓に基づく実践的防災学の研究拠点形成が大きな課題であり,巨大地震および津波の発生メカニズムの解明から被害の状況,将来の評価・予測などを展開し,さらに当時の教訓を震災アーカイブなどに記録していかなければならない.さらに,国内外の災害に備えるため,リスク評価の信頼の向上,支援学の構築,災害医学との連携,歴史文化を踏まえた防災のあり方などの学際研究が必要であろう.自然災害科学研究において,事前対策,災害の発生,被害の波及,緊急対応,復旧・復興,将来への備えを一連の災害サイクルととらえ,それぞれのプロセスにおける事象を解明し,その教訓を一般化・統合化することが必要である.東日本大震災における調査研究,復興事業への取り組みから得られる知見や,世界をフィールドとした自然災害科学研究の成果を社会に組み込み,複雑化する災害サイクルに対して人間・社会が賢く対応し,苦難を乗り越え,教訓を活かしていく社会システムを構築するための学問を「実践的防災学」として体系化し,その学術的価値を創成したい.