日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-09_1PM2] 海溝型巨大地震と原子力発電所

2014年5月1日(木) 16:15 〜 18:00 502 (5F)

コンビーナ:*橋本 学(京都大学防災研究所)、川勝 均(東京大学地震研究所)、金嶋 聰(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、末次 大輔(海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター)、座長:川勝 均(東京大学地震研究所)、末次 大輔(海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター)

17:05 〜 17:30

[U09-06] 耐震規制基準と地震の科学

*纐纈 一起1 (1.東京大学地震研究所)

原子力発電所の耐震規制基準は,他の構造物と同じように地震動ハザードと津波ハザードの評価から始まっている.地震動ハザードの評価方法には大別して確率論的予測とシナリオ予測があるが,耐震規制基準においてはシナリオ予測を基本とし,残余のリスクの評価のために確率論的予測を補助的に行う.従って,地震の科学の知見が主に貢献するのは,シナリオ予測におけるシナリオ地震の想定にある.本発表では,コンビーナの要請に従い原子力発電所の地震動ハザード評価を中心に議論するが,海溝型巨大地震に関連して津波ハザード評価についても述べる.また,東北地方太平洋沖地震によって原子力発電所で生じた各種事象と,これらのハザード評価やシナリオ地震の想定との関係について著者の見解を述べる.最後に,原子力発電所の耐震安全性評価における地震の科学の果たす役割について議論し,まったく未経験の事象を予見することができなければ,地震の科学は原子力発電所の真の安全性には貢献できないということを示す.また,「何ものにもとらわれず,科学的・技術的な見地から,独立して意思決定を行う」ことで真の安全性が得られるという思い込みの危険性を議論する.