日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG64] 海洋底地球科学

2015年5月28日(木) 09:00 〜 10:45 A05 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)、田所 敬一(名古屋大学地震火山研究センター)、石塚 治(産業技術総合研究所活断層火山研究部門)、土岐 知弘(琉球大学理学部)、高橋 成実(海洋研究開発機構地震津波海域観測研究開発センター)、座長:佐藤 暢(専修大学経営学部)、一瀬 建日(東京大学地震研究所)

09:45 〜 10:00

[SCG64-19] 水深異常の起源について

*是永 淳1 (1.イェール大学地球科学科)

キーワード:水深異常, マントル対流, 内部熱源, 初期地球, 表層環境

海底の水深は年代とともに増すが、約7000万年より古くなると、境界層モデルの予測よりも浅い水深を示すことが知られている。このいわゆる「水深異常」はホットスポットや海台の影響を取り除いても存在するシグナルであり、プレートモデルを使うとうまく説明できる。しかし、境界層モデルが対流の物理に基づいているのに対して、プレートモデルは物理的に正当化できない境界条件を用いている。このように、物理的に正しいが観測を説明できない境界層モデルと、物理的にはおかしいけども観測が説明できてしまうプレートモデルの両者が対立している状況が過去40年ほど続いていた。プレート下部が重力的に不安定になって発生する小規模対流とマントルの内部熱源の両方を考慮すれば、この水深異常を説明できるかもしれないという可能性が以前から指摘されていたが、本発表ではこの可能性を新しい対流モデルを使って検討した結果を報告する。数値計算の結果によると、観測されている水深異常を説明するにはマントルの内部熱源が 12±3 TW であればよく、これは地球化学データから推測される熱源の量と調和的である。物理的なモデルによって海底の水深を正しく予測できるようになると、初期地球の表層環境の理論的研究にも役立つので、このことについても議論する予定である。