18:15 〜 19:30
[SCG57-P01] 巨大地震と青森・岩手・宮城の断面構造を結ぶダイナミクス
プレート(P)収束帯では低温のPの斜め上斜め下に高温体が形成され互いに引き寄せ合う。東方から西進する高温体に乗るPとマントルウェッジは西進し、西方から東進する高温体に挟まれ圧縮される。これが収束帯の原動力・主構造と考え理論・実験・適用の各面で説明してきた。(1)(2)他
私の、応力構造の現状解明と変動傾向の理解予測(以下「構造理解」と略)は、1.力学の一般知識 2.上の仮説 3.地震波トモグラフィdVpの赤色は高温青色は低温と解釈することを根拠とする。東日本に関する主な構造理解を以下に示す。
M7クラスの地震が震源を東に移動(登坂)させながら数十年に一度発生しその度に地震の西方が深部まですべりを起こす(宮城県沖地震)。先行する小地震が割れ前線を形成しそれがしかるべき位置に達すれば一斉全体すべりが起きる(3.11)。宮城沖の1千年の力学モデルであり実験で再現された。(3)(4)
宮城沖以南では南部ほど上盤下盤共に潰れが大きい。応力が蓄積し難く沈み込みが進まず応力開放時に海溝軸が東へ戻りにくい。長期的に南部ほど海溝軸は西へ運ばれる。これが南部ほど海溝が陸に近い理由であり房総沖三重会合点で最も西寄りの理由と共に説明した。(5)(6)
(図面(注釈は英語)を参照のこと)今回は宮城沖以北の構造理解に関する。まず宮城(d-d'断面)の特徴は青森(a-a'断面)との比較で再認識できた。高温体の高4はより西へ高5はより東へ拡がり原動力の向きは水平に近い。また東海岸以東のウエッジ(W)内に顕著な高温部はなく3.11のすべり域のモデル化と再現実験が容易であった。西から押し寄せる高4は東部ほど斜面に貼り付き停滞し物質が蓄積する。これで陸地が形成・維持されるが東端は圧力が東下へ抜けがちである(陥没地形:仙台湾)。Wは西真横から押されP境界に沿った剥離が期待できる。
青森の特徴は悉く異なる。高4と高5は拡がらず原動力は斜面に直角に近いため高4はまず斜面に近づきそれに沿って展開する。故に陸の発達は弱い。Wは西斜め下から押されるので剥離はP境界に沿わず途中で海底を突き上げる。そこに物質が溜まりドーム(D)が発達する。これより東側は東斜め下からDを止める力が反作用で発生しP境界に沿う剥離はこちらも起こりにくかろう。a-a'断面とb-b'断面は似ているが前者はWの中にもエンジン(高1)がありより能動的な登坂すべりが見込まれる。これらの理由で平面図の領域AOは特異である。
1968年と1994年の大地震は初期破壊(IR)と主破壊(MR)の位置が離れ(7)、浅部から深部まで広範囲で破壊したと見込まれるのは宮城沖との比較でも不思議であった(8)。しかし上の構造理解によれば領域AOでの大地震はDの東側にあるストッパーがまず動く(IR)ことでDの西側で大すべり(MR)が始まる震源過程が特性であると説明できる。高4の先端や高1はW内のエンジンなので常に歪の蓄積が速く大地震の発生間隔を短くしていよう。限られた領域AOに対しMR-D-IRが二列形成された必然性を今後明確にしたい。
岩手(c-c'断面)の温度構造は全体としては中間的であるが、陸地の下に低温体がありWの中に巨大な高3があることが特異である。高3、高4、高5は相互に引き合う。東西から押され安定した圧力で陸地は支持されている。これで三陸が存在すると考える。高3は東斜め下へも引かれることでWの先端や沈み込みPを直接的に押す。このことと地震の多発帯(9)は関係しよう。
地殻変動は観測事実(10)で示されるものを構造理解に投入しても全域で矛盾は認められない。例えば日本海が青森では陸と共に西へ流されそれより南では逆に東進していることは調和する。今回は宮城沖以北の構造理解で地震の理解も進み青森東方沖の大地震は仕組みが宮城県沖地震でもなく3.11でもないことが判明した。
参考文献:(1)間瀬/SSJ2010秋/P3-47 (2)間瀬/JpGU2012/SCG67-P06 (3)間瀬/SSJ2012秋/P2-75 (4)間瀬/JpGU2013/SSS28-P09 (5)間瀬/SSJ2013秋/P2-45 (6)間瀬/JpGU2014/SCG66-P04 (7)永井ら(2000)/三陸における再来大地震の震源過程の比較研究 /東大震研 (8)間瀬/JpGU2014/SSS30-P01 (9)JMA/地震・火山月報(防災編)/平成17年7月/7月2日三陸沖の地震 (10)GSI/地殻変動アニメーション1996年4月~1999年12月鳥瞰図
私の、応力構造の現状解明と変動傾向の理解予測(以下「構造理解」と略)は、1.力学の一般知識 2.上の仮説 3.地震波トモグラフィdVpの赤色は高温青色は低温と解釈することを根拠とする。東日本に関する主な構造理解を以下に示す。
M7クラスの地震が震源を東に移動(登坂)させながら数十年に一度発生しその度に地震の西方が深部まですべりを起こす(宮城県沖地震)。先行する小地震が割れ前線を形成しそれがしかるべき位置に達すれば一斉全体すべりが起きる(3.11)。宮城沖の1千年の力学モデルであり実験で再現された。(3)(4)
宮城沖以南では南部ほど上盤下盤共に潰れが大きい。応力が蓄積し難く沈み込みが進まず応力開放時に海溝軸が東へ戻りにくい。長期的に南部ほど海溝軸は西へ運ばれる。これが南部ほど海溝が陸に近い理由であり房総沖三重会合点で最も西寄りの理由と共に説明した。(5)(6)
(図面(注釈は英語)を参照のこと)今回は宮城沖以北の構造理解に関する。まず宮城(d-d'断面)の特徴は青森(a-a'断面)との比較で再認識できた。高温体の高4はより西へ高5はより東へ拡がり原動力の向きは水平に近い。また東海岸以東のウエッジ(W)内に顕著な高温部はなく3.11のすべり域のモデル化と再現実験が容易であった。西から押し寄せる高4は東部ほど斜面に貼り付き停滞し物質が蓄積する。これで陸地が形成・維持されるが東端は圧力が東下へ抜けがちである(陥没地形:仙台湾)。Wは西真横から押されP境界に沿った剥離が期待できる。
青森の特徴は悉く異なる。高4と高5は拡がらず原動力は斜面に直角に近いため高4はまず斜面に近づきそれに沿って展開する。故に陸の発達は弱い。Wは西斜め下から押されるので剥離はP境界に沿わず途中で海底を突き上げる。そこに物質が溜まりドーム(D)が発達する。これより東側は東斜め下からDを止める力が反作用で発生しP境界に沿う剥離はこちらも起こりにくかろう。a-a'断面とb-b'断面は似ているが前者はWの中にもエンジン(高1)がありより能動的な登坂すべりが見込まれる。これらの理由で平面図の領域AOは特異である。
1968年と1994年の大地震は初期破壊(IR)と主破壊(MR)の位置が離れ(7)、浅部から深部まで広範囲で破壊したと見込まれるのは宮城沖との比較でも不思議であった(8)。しかし上の構造理解によれば領域AOでの大地震はDの東側にあるストッパーがまず動く(IR)ことでDの西側で大すべり(MR)が始まる震源過程が特性であると説明できる。高4の先端や高1はW内のエンジンなので常に歪の蓄積が速く大地震の発生間隔を短くしていよう。限られた領域AOに対しMR-D-IRが二列形成された必然性を今後明確にしたい。
岩手(c-c'断面)の温度構造は全体としては中間的であるが、陸地の下に低温体がありWの中に巨大な高3があることが特異である。高3、高4、高5は相互に引き合う。東西から押され安定した圧力で陸地は支持されている。これで三陸が存在すると考える。高3は東斜め下へも引かれることでWの先端や沈み込みPを直接的に押す。このことと地震の多発帯(9)は関係しよう。
地殻変動は観測事実(10)で示されるものを構造理解に投入しても全域で矛盾は認められない。例えば日本海が青森では陸と共に西へ流されそれより南では逆に東進していることは調和する。今回は宮城沖以北の構造理解で地震の理解も進み青森東方沖の大地震は仕組みが宮城県沖地震でもなく3.11でもないことが判明した。
参考文献:(1)間瀬/SSJ2010秋/P3-47 (2)間瀬/JpGU2012/SCG67-P06 (3)間瀬/SSJ2012秋/P2-75 (4)間瀬/JpGU2013/SSS28-P09 (5)間瀬/SSJ2013秋/P2-45 (6)間瀬/JpGU2014/SCG66-P04 (7)永井ら(2000)/三陸における再来大地震の震源過程の比較研究 /東大震研 (8)間瀬/JpGU2014/SSS30-P01 (9)JMA/地震・火山月報(防災編)/平成17年7月/7月2日三陸沖の地震 (10)GSI/地殻変動アニメーション1996年4月~1999年12月鳥瞰図