日本地球惑星科学連合2015年大会

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口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT32] 地理情報システム

2015年5月26日(火) 11:00 〜 12:45 203 (2F)

コンビーナ:*小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、村山 祐司(筑波大学大学院生命環境科学研究科地球環境科学専攻)、柴崎 亮介(東京大学空間情報科学研究センター)、吉川 眞(大阪工業大学工学部)、座長:吉川 眞(大阪工業大学工学部)、小荒井 衛(国土交通大学校測量部)

11:45 〜 12:00

[HTT32-04] RとGISによるPM2.5分布の高分解能推定

大森 秋穂1、*山川 純次1 (1.岡山大学大学院自然科学研究科)

キーワード:PM2.5, 空間統計学, クリギング, R言語, gstat, FOSS4G

大気中に浮遊する粒子状物質のうち,空気力学半径が2.5マイクロメートル以下となる粒子の集団をPM2.5と呼ぶ。PM2.5の空間濃度分布は健康に対する影響等を検討する上で基本的な情報となる。しかし現時点ではPM2.5の濃度観測点は数が少なく,数十kmに渡る地域に関する高分解能の連続分布を得ることは難しい。

本研究では岡山県南部地域におけるPM2.5の高分解能空間分布を,R言語による普遍クリギング法とFOSS4G GISソフトウェアを使って推定した。PM2.5の観測データは岡山県の環境データサービスサイトから取得した。推定領域に関する地理空間データは,我が国の政府系研究機関によって公開されたものを使用した。空間統計解析はR (R core team, 2014)とその空間統計ライブラリであるmaptools (Bivand and Lewin-Koh, 2014), rgdal (Bivand, Keitt and Rowlingson, 2014)およびgstat (Pebesma, 2014)によって実行した。推定分布の地理空間表現と定性分析はQGIS (QGIS Development Team, 2014)とGoogle earth (Google, 2015)によって行なった。

まず推定領域内に存在する観測点から得られたPM2.5濃度の時間変化を検討したところ,同じ観測点で得られるSPM10濃度の時間変化に対して相関を示した。そこでこの性質を利用してSPM10のみの観測点も仮想的なPM2.5濃度観測点として扱い,従来より高分解能でPM2.5の空間濃度分布を推定した。これにより数km前後のスケールを持つ各種地物との比較が可能な分布が得られた。その結果,PM2.5の空間濃度は各種地物に比較的密接な関係を示していると考えられた。PM2.5の高分解能推定分布の時系列変化の推定に関しては更に検討が必要であろう。