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[MIS34-P04] 堆積物コアのCNS元素濃度を基にした過去2万5千年間の琉球弧の堆積環境変遷
キーワード:CNS 元素, 堆積過程, 海水準変動, 黒潮, 琉球諸島
本研究では,沖縄島西方と前弧の海域で採取された柱状堆積物(コア)の放射性炭素年代とCNS元素分析を行い,既存研究の沖縄トラフの結果と比較し,2万5千年間の堆積環境変遷について検討した.沖縄トラフのコアは最終氷期最盛期から完新世にかけて,顕著なCaCO3濃度の増加と全有機炭素/全窒素量比(C/N比)の減少を示し,これら変化は海水準上昇に伴う大陸からの供給の減少を示す.一方で,沖縄島西方海域で採取したコアのCaCO3濃度は沖縄トラフのおおよそ2倍を示し,7.5-6.0 cal kyr BPに増加する.また,前弧海域のコアのCaCO3濃度は11.5-8.1 cal kyr BPに顕著な減少を示す.これらCaCO3濃度は海水表面の栄養塩濃度変化に伴う海洋生産の変化を示している可能性が高い.これに加えて,黒潮や琉球海流の運搬が影響している可能性もある.さらに沖縄島西方海域のC/N比は,完新世初期以降に1-2 kyr間隔の変化を示す.この変化はこの海域で卓越する黒潮反流の強度が数千年間隔で変化し,その運搬作用によって浅海域から深海へと堆積物が移動している可能性を示唆する.