日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG35] 堆積・侵食・地形発達プロセスから読み取る地球表層環境変動

2015年5月27日(水) 11:00 〜 12:45 105 (1F)

コンビーナ:*山口 直文(茨城大学 広域水圏環境科学教育研究センター)、成瀬 元(京都大学大学院理学研究科)、清家 弘治(東京大学大気海洋研究所)、高柳 栄子(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、池田 昌之(静岡大学)、座長:清家 弘治(東京大学大気海洋研究所)

12:33 〜 12:36

[HCG35-P02] 宮崎層群青島層にみられるセディメントウェーブの形成条件

ポスター講演3分口頭発表枠

*石原 与四郎1大西 由梨1Kawakami-Takii 喜和子1 (1.福岡大学理学部)

キーワード:セディメントウェーブ, トラクションカーペット, 重力流堆積物, 単層解析, 流速

宮崎県宮崎市の日南海岸沿いには,宮崎層群青島層がよく露出する.青島層は,特異な堆積シーケンスや層厚頻度分布を示す重力流堆積物が卓越する前孤海盆埋積堆積物である.基本的には流向方向への連続性がよく,厚さ30 cm以下の単層がおよそ10 kmにわたって対比が可能である.重力流堆積物の堆積相解析や層厚頻度分布の解析からは,青島層はファンデルタ沖合に位置すると推定されている.
 宮崎市折生迫白浜の海岸沿いに分布する青島層は,およそ700 mに渡って詳細な単層の追跡がなされた.その結果,これらの層厚分布が波長数100 mのセディメントウェーブを成すことが明らかになってきた.露頭におけるこのような規模のセディメントウェーブの報告は今まで認められていない.本研究では,得られたセディメントウェーブの波長からこれらを形成した流速を求め,認められる堆積構造との整合性を検討した.
 青島層のセディメントウェーブは,以下の特徴がある.すなわち,(1) 単層はおおよそ中粒砂からなり,検討層準上部ほど層厚変化に富む,(2) 波長は600~700 mで,短いstoss sideと長いlee sideを持つ,(3) stoss sideではしばしば泥岩同時侵食礫を含む,(4) 全体的にspaced planner laminationが発達する等である.これらの特徴からは,全体的に高領域での流れが推定されるとともに,stoss sideで跳水が起こっていたことが指摘できる.
 得られたセディメントウェーブの流速を,海水と重力流の密度差を10~300 kg/m3の範囲でNormark et al.(1980)によるセディメントウェーブの波長と流速の関係で求めた.また,オートサスペンションの起こらない堆積的な流れを仮定すると,基底面の傾斜が0.1°と緩いときは3.0~17.3 m/s,1°のときは3.0~13.0 m/s,2°のときは3.0~6.5 m/s,5°のときは3.0~4.3 m/sであったことが推測される.このような流れは,セディメントウェーブを形成する重力流堆積物の堆積構造が高領域での流れを反映したベッドフォームからなることと矛盾しない.