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[PCG32-01] 2015年に行われる金星探査機「あかつき」の金星周回軌道再投入について
キーワード:金星大気, 惑星探査
日本の金星探査機あかつきの構想は1990年代からあったが、宇宙科学研究所(当時文部省の国立研究所)の正式ミッションとして認められたのは2001年の事であった。予算不足により開発の着手が2004年にずれ込んだもの、その後の開発は順調で2010年5月に打ち上げられた。その年の12月には金星周回軌道に投入される予定であったが、投入シークエンスの最中に推進系に不具合をおこし、金星を離れて再び太陽を廻る軌道に戻った。後の解析により主エンジンの永久破損が認められ、軌道を制御する能力を大幅に減じられたが、推進系以外の機器は正常に動作しており、非力ながら動いている姿勢制御の為のエンジンを使って2015年末に再び金星周回軌道へ入ろうとしている。
この探査機は米ソ欧州に次いで金星に挑み、科学探査を目的としているが、他国が調べなかった金星特有の現象、金星気象、に的を絞ってこれを明らかにする機器群が搭載されている。金星は自転周期が243地球日と大変遅いのであるが不思議なことに惑星を取り囲む分厚い二酸化炭素の大気は4地球日で惑星を一周している。これを超回転(スーパーローテーション)と呼ぶが、この様に地球と全く異なる気候を金星が持つ理由は地球気象を理解しているはずの気象学では説明出来ない。惑星本体の自転は西向きであり大気の運動も同方向である事から、惑星本体の持つ角運動量を何らかのメカニズムで組み上げていると想像されるが、そのメカニズムについては幾つかの仮説が提唱されていて定量的にどれが正しいかの検証が出来ていない。金星探査機あかつきは観測波長の異なる数台のカメラを搭載し、波長毎に異なる高さの雲や微量気体の動きを追跡して、角運動量が3次元的にどの様に運ばれていくかを明らかにする。金星気象の理解は、何時かは地球気象学を越える惑星気象学の構築へと実を結び、我々は地球の気象をもさらに深く理解できるようになるだろう。
本日の講演では本探査計画の目的とそのミッションの始まりから、2010年の失敗、そして2015年の再挑戦の試みに絞って話をする。
この探査機は米ソ欧州に次いで金星に挑み、科学探査を目的としているが、他国が調べなかった金星特有の現象、金星気象、に的を絞ってこれを明らかにする機器群が搭載されている。金星は自転周期が243地球日と大変遅いのであるが不思議なことに惑星を取り囲む分厚い二酸化炭素の大気は4地球日で惑星を一周している。これを超回転(スーパーローテーション)と呼ぶが、この様に地球と全く異なる気候を金星が持つ理由は地球気象を理解しているはずの気象学では説明出来ない。惑星本体の自転は西向きであり大気の運動も同方向である事から、惑星本体の持つ角運動量を何らかのメカニズムで組み上げていると想像されるが、そのメカニズムについては幾つかの仮説が提唱されていて定量的にどれが正しいかの検証が出来ていない。金星探査機あかつきは観測波長の異なる数台のカメラを搭載し、波長毎に異なる高さの雲や微量気体の動きを追跡して、角運動量が3次元的にどの様に運ばれていくかを明らかにする。金星気象の理解は、何時かは地球気象学を越える惑星気象学の構築へと実を結び、我々は地球の気象をもさらに深く理解できるようになるだろう。
本日の講演では本探査計画の目的とそのミッションの始まりから、2010年の失敗、そして2015年の再挑戦の試みに絞って話をする。