12:00 〜 12:03
[HDS25-P01] 隠岐島後の亀の原池地すべりに見られる小丘群の成因
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:隠岐島後, 地すべり地形, スプレッド
隠岐島後の南西部に位置する隠岐の島町都万地区では、複数の地すべりが存在している。しかも、それらの地すべりの運動様式はスプレッドという特異なものである可能性が高いことが判明した。本研究では、その一つの亀の原池地すべりの地形的特徴を報告する。なお、予察的調査では、亀の原池地すべり地では、上位層に硬質な重栖層の粗面岩・流紋岩があり、下位層には軟弱な流紋岩質凝灰岩からなる、二階建て構造(キャップロック構造)の存在を示唆している。
2.5万分の1の地形図「都万」と1万分の1の空中写真を用いて解析した。その結果を以下に述べる。亀の原池地すべりの移動体の地表面輪郭構造は非常に明瞭であり、滑落崖は約2.0㎞で、末端までの長さは約2.5㎞である。亀の原池地すべりは、末端部に向かって狭くなる逆三角形の形を呈している滑落崖は、東西と南西-北東に延びる2つの開口クラックによって3つに分断されている。これらの開口クラックのほかにも、滑落崖の北の山地には同方向の開口クラックの存在を示唆する凹地がほぼ平行に配列している。
一方、地すべり移動体内では、比高10~80m、長さ50~500m、幅20~200mの菱形、長円形、平行四辺形などの流れ山状の小丘が約30個分布している。これらの小丘の間には明瞭な谷や凹地が発達している。このような地形は、大八木(2003)がスプレッドとしている地すべりの特徴と酷似している。多くの小丘は、滑落崖の北に分布する開口クラック群とほぼ平行な方向に配列している。したがって、開口クラック群が発達している滑落崖の北の山地は準変動域とみることができる。地すべり移動体の頭部から末端部にかけて地形断面から想定されるすべり面の傾斜は5度以下と緩い傾斜である。地すべり末端部になるにつれて、小丘群は小さくなり間隔も広がっている。これは、移動に伴い末端部が分断され、小規模な崩壊を起こしていることを示唆している。これらもスプレッドの地形的特徴であり、また、すべり面が低角度ということはすべり面の強度が小さくなければ移動しないことを示している。
参考文献:大八木規夫,2003:日本におけるスプレッドタイプの地すべりの事例.深田地質研究所年報,133-153.
2.5万分の1の地形図「都万」と1万分の1の空中写真を用いて解析した。その結果を以下に述べる。亀の原池地すべりの移動体の地表面輪郭構造は非常に明瞭であり、滑落崖は約2.0㎞で、末端までの長さは約2.5㎞である。亀の原池地すべりは、末端部に向かって狭くなる逆三角形の形を呈している滑落崖は、東西と南西-北東に延びる2つの開口クラックによって3つに分断されている。これらの開口クラックのほかにも、滑落崖の北の山地には同方向の開口クラックの存在を示唆する凹地がほぼ平行に配列している。
一方、地すべり移動体内では、比高10~80m、長さ50~500m、幅20~200mの菱形、長円形、平行四辺形などの流れ山状の小丘が約30個分布している。これらの小丘の間には明瞭な谷や凹地が発達している。このような地形は、大八木(2003)がスプレッドとしている地すべりの特徴と酷似している。多くの小丘は、滑落崖の北に分布する開口クラック群とほぼ平行な方向に配列している。したがって、開口クラック群が発達している滑落崖の北の山地は準変動域とみることができる。地すべり移動体の頭部から末端部にかけて地形断面から想定されるすべり面の傾斜は5度以下と緩い傾斜である。地すべり末端部になるにつれて、小丘群は小さくなり間隔も広がっている。これは、移動に伴い末端部が分断され、小規模な崩壊を起こしていることを示唆している。これらもスプレッドの地形的特徴であり、また、すべり面が低角度ということはすべり面の強度が小さくなければ移動しないことを示している。
参考文献:大八木規夫,2003:日本におけるスプレッドタイプの地すべりの事例.深田地質研究所年報,133-153.