14:15 〜 14:30
[ACG30-13] 生態系タワー観測による太陽光誘発クロロフィル蛍光データベースの構築
キーワード:生態系光合成量, リモートセンシング, フラックス観測, 衛星観測
森林や草原などの生態系は光合成により、温室効果ガスであるCO2を大気から吸収しており、生態系光合成量を正確に把握することは、将来の地球の気候変化を予測する上で非常に重要である。その広域的な量を押さえるためには、衛星データを利用することが一般的であるが、従来の植生指標(NDVI、EVIなど)は葉の緑色を反映するのみであり、常緑林の冬期や、干ばつなどで一時的にストレスを受けている生態系の光合成量を推定することには向いていない。
光合成は太陽光を利用するが、利用されなかった光エネルギーの一部は、クロロフィル(葉緑素)蛍光として放出される(太陽光誘発クロロフィル蛍光:Sun-Induced Fluorescence, SIF)。これまで、SIFは、個葉などの小さいスケールでのストレス診断に用いられるのみであったが、最近、生態系レベルの大きなスケールで、光合成速度(総一次生産量)との相関が大変高いことがわかってきており(Zarco-Tejada et al., 2013, AFMなど)、SIFを生態系CO2吸収量の推定に生かすことが非常に期待されている。一方で、地上観測データによる検証は、ほとんど進んでいないため、利用可能性が狭められている。
そこで本研究では、日本の植物季節観測ネットワーク(Phenological Eyes Network: PEN)による分光放射データを利用し、異なる生態系タイプの5カ所のサイト(水田:真瀬、草原:筑波大アイソトープ研圃場、落葉広葉林:高山TKY、常緑針葉林:高山TKC、落葉針葉林:富士北麓)において、760nm付近のO2-A吸収帯のSIFをFraunhofer Line Depth (FLD)法にて算出した。本発表では、2005-2013年間のこれらSIFと渦相関法によって観測された総一次生産(GPP)を比較し、SIFの生態系光合成量の推定についての利用可能性について初歩的な結果を示す予定である。
光合成は太陽光を利用するが、利用されなかった光エネルギーの一部は、クロロフィル(葉緑素)蛍光として放出される(太陽光誘発クロロフィル蛍光:Sun-Induced Fluorescence, SIF)。これまで、SIFは、個葉などの小さいスケールでのストレス診断に用いられるのみであったが、最近、生態系レベルの大きなスケールで、光合成速度(総一次生産量)との相関が大変高いことがわかってきており(Zarco-Tejada et al., 2013, AFMなど)、SIFを生態系CO2吸収量の推定に生かすことが非常に期待されている。一方で、地上観測データによる検証は、ほとんど進んでいないため、利用可能性が狭められている。
そこで本研究では、日本の植物季節観測ネットワーク(Phenological Eyes Network: PEN)による分光放射データを利用し、異なる生態系タイプの5カ所のサイト(水田:真瀬、草原:筑波大アイソトープ研圃場、落葉広葉林:高山TKY、常緑針葉林:高山TKC、落葉針葉林:富士北麓)において、760nm付近のO2-A吸収帯のSIFをFraunhofer Line Depth (FLD)法にて算出した。本発表では、2005-2013年間のこれらSIFと渦相関法によって観測された総一次生産(GPP)を比較し、SIFの生態系光合成量の推定についての利用可能性について初歩的な結果を示す予定である。