日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG30] 陸域生態系における水・炭素・窒素などの循環に関する研究

2015年5月25日(月) 14:15 〜 16:00 301B (3F)

コンビーナ:*加藤 知道(北海道大学農学研究院)、平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、平田 竜一(独立行政法人国立環境研究所)、座長:佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)

14:45 〜 15:00

[ACG30-15] 記録的な暖冬・少雪下における山岳牧草地動態のプロセスベースモデリング

*堅田 元喜1Ruediger Grote2Matthias Zeeman2Matthias Mauder2太田 雅和3Haiyan Lu2Ralf Kiese2 (1.カールスルーエ工科大学/日本原子力研究開発機構、2.カールスルーエ工科大学、3.日本原子力研究開発機構)

キーワード:管理草地, 無積雪期間, 陸面モデル, 光合成, 霜害, ヨーロッパアルプス

アルプスの生態系は、土壌呼吸が純光合成量を上回る寒冷期には炭素の発生源となることがわかっているが、積雪の役割と気候温暖化に伴う積雪期間の短縮化へのこれらの生態系の応答は明らかではない。本研究では、無積雪期間の草地動態を調べるために、多層大気-土壌-植生モデル(SOLVEG) に詳細な雪物理スキーム、植物生長スキーム、および土壌微生物スキームを結合した。このモデルを、降雪量が極めて少なかった年のドイツの準アルプス草地の観測サイトに適用した。改良したモデルは、地表面熱収支やCO2フラックス、土壌温度・含水量、および地上部バイオマスの時間変化を再現した。シミュレーションおよび観測結果では、低標高では草本が冬眠することなく光合成活動を続けていることが示された。同時に、霜害による枯死が進むために、結果的には無積雪期間の光合成による積算炭素同化量は土壌呼吸とほぼ同等であった。しかしながら、温暖化環境では霜害を避けられるために、冬から春にかけて草地がCO2の強い吸収源となることがわかった。将来の気候変動によって、世界に分布する山岳草地での冬季の炭素吸収量の重要性が増す可能性がある。