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[SSS28-25] 2014年11月22日長野県北部の地震(Mw 6.2)にともなって出現した地表地震断層
キーワード:地表地震断層, 2014年11月22日長野県北部の地震, 糸魚川-静岡構造線断層帯, 神城断層
2014年11月22日に長野県北部にてMw 6.2の地震が発生し,それに伴って既知の活断層沿いに地表地震断層が出現した.私たちは,11月23日-26日と11月29日-12月3日の二回に分けて地表地震断層のマッピングおよびそれに関する地変の記載を行った.一部,簡易測量を行い上下変位量や水平短縮量を求めた.
地表地震断層は,既知の活断層である神城断層(澤ほか,1999;東郷ほか,1999)に沿うように出現した.ただし,既知の活断層位置と一致しない部分もあった.私たちが確認した地表地震断層の総延長は9.2 km,一般走向はNW-SEであった.地表変位に関しては,おもに東上がりを示し,主断層として東傾斜の逆断層が推定された.これは震源のメカニズム解やInSARの結果と整合的である(気象庁,2014;国土地理院,2014).また一部では,バックスラストと思われる高角東落ち断層が主断層の東側に出現した.以下,北から南に向かって地表地震断層の詳細を述べる.
今回確認した地表地震断層の最大上下変位量(西落ち0.8 m)を示す撓曲崖は塩島で認められた.延長部である城山の東側では,ほぼ東西走行の北落ちと南落ちの撓曲崖が並走するが,それより北側では明瞭な変位は認められなかった.塩島の東側の野平と松川・姫川の合流地点付近では東落ち(最大0.8 m)のバックスラストに伴う断層崖・撓曲崖が認められた.松川から大出の間では,三条の西落ちの撓曲崖および地変が認められ,大出の南で一条に収斂する.さらに深空までの間は大糸線と姫川の間に広がる田畑に撓曲崖がほぼ連続して出現し,湾曲するような平面形を示す.深空から飯森までの間には明瞭な地変は認められなかったため,地表地震断層は姫川もしくはさらに東側に存在すると推定された.しかし,その地変を姫川沿いでは確認することはできなかった.飯森では,撓曲崖が姫川の左岸に出現し,約500 mにわたって連続的に確認できた.ここでも断層の平面形は湾曲した形態を示す.さらに南の堀之内にかけては明瞭な断層変位は認められないが,人工物の短縮変形が認められるようになり,その短縮変形の前面に地表地震断層の地表トレースが推定された.そのため飯田より南側では北側に比べて断層が低角化していると推定される.堀之内から東佐野にかけても短縮変形が連続的に認められ,その地点に断層トレースを推定した.その短縮量は最大で約0.5 mであった.
以上の性状から北部から南部に向かって地表付近での断層の低角化が推定される.その要因としては,表層堆積物の構成物および厚さの違い(基盤岩深度)によると考えられる.また上下変位量分布からは北部の方が大きく南部の方が小さい傾向が読み取れ,震源に近い部分で上下変位量が大きいことがわかる.ただし,南部は断層の低角化が推定されるため地表付近での断層の角度を知ることが正確な断層変位量を知るためだけでなく,地表地震断層の分布形態を理解する上でも重要であると考えられる.
地表地震断層は,既知の活断層である神城断層(澤ほか,1999;東郷ほか,1999)に沿うように出現した.ただし,既知の活断層位置と一致しない部分もあった.私たちが確認した地表地震断層の総延長は9.2 km,一般走向はNW-SEであった.地表変位に関しては,おもに東上がりを示し,主断層として東傾斜の逆断層が推定された.これは震源のメカニズム解やInSARの結果と整合的である(気象庁,2014;国土地理院,2014).また一部では,バックスラストと思われる高角東落ち断層が主断層の東側に出現した.以下,北から南に向かって地表地震断層の詳細を述べる.
今回確認した地表地震断層の最大上下変位量(西落ち0.8 m)を示す撓曲崖は塩島で認められた.延長部である城山の東側では,ほぼ東西走行の北落ちと南落ちの撓曲崖が並走するが,それより北側では明瞭な変位は認められなかった.塩島の東側の野平と松川・姫川の合流地点付近では東落ち(最大0.8 m)のバックスラストに伴う断層崖・撓曲崖が認められた.松川から大出の間では,三条の西落ちの撓曲崖および地変が認められ,大出の南で一条に収斂する.さらに深空までの間は大糸線と姫川の間に広がる田畑に撓曲崖がほぼ連続して出現し,湾曲するような平面形を示す.深空から飯森までの間には明瞭な地変は認められなかったため,地表地震断層は姫川もしくはさらに東側に存在すると推定された.しかし,その地変を姫川沿いでは確認することはできなかった.飯森では,撓曲崖が姫川の左岸に出現し,約500 mにわたって連続的に確認できた.ここでも断層の平面形は湾曲した形態を示す.さらに南の堀之内にかけては明瞭な断層変位は認められないが,人工物の短縮変形が認められるようになり,その短縮変形の前面に地表地震断層の地表トレースが推定された.そのため飯田より南側では北側に比べて断層が低角化していると推定される.堀之内から東佐野にかけても短縮変形が連続的に認められ,その地点に断層トレースを推定した.その短縮量は最大で約0.5 mであった.
以上の性状から北部から南部に向かって地表付近での断層の低角化が推定される.その要因としては,表層堆積物の構成物および厚さの違い(基盤岩深度)によると考えられる.また上下変位量分布からは北部の方が大きく南部の方が小さい傾向が読み取れ,震源に近い部分で上下変位量が大きいことがわかる.ただし,南部は断層の低角化が推定されるため地表付近での断層の角度を知ることが正確な断層変位量を知るためだけでなく,地表地震断層の分布形態を理解する上でも重要であると考えられる.