09:30 〜 09:45
[SSS28-07] 活断層の長さから推定する地震モーメント
キーワード:地震モーメント, 活断層, 震源断層, 予測, ハザード, 津波
地震モーメントを活断層の長さから予測する場合、過小評価となる可能性があり注意が必要である。予測には、震源断層の長さ(あるいは面積)と地震モーメントとの関係式が使われるが、地震発生前に使用できるのは活断層の情報であって、震源断層のものではない。地震モーメントは断層モデルの基本物理量であり、その予測値は、将来発生する地震の揺れや津波の高さなどの予測に使われることが多い。このため地震モーメントの過小予測は、災害の過小想定につながりかねない。
日本の陸域およびその周辺の地殻内浅発地震(マグニチュード7程度以上)について、断層長L(m)と地震モーメントMo(Nm)との関係式をわかりやすさを重視して表現すると次のようになる。
(1)Mo = 4.37 x 1010 x L2 (武村, 1998)
(2)Mo = 3.80 x 1010 x L2 (Yamanaka & Shimazaki, 1999)
(3)Mo = 3.35 x 1010 x L1.95 (地震調査委, 2006)
(4)Mo = 1.09 x 1010 x L2 (入倉・三宅, 2001)
なお、入倉・三宅(2001)では地震モーメントと断層面積との関係式が提案されているが、厚さ14kmの地震発生層中の垂直な断層を仮定し(4)を導いた。断層の傾斜角を60度とした場合には、係数が1.09ではなく1.45となる。(4)と他との差異は顕著で、同じ断層長で比較すると、地震モーメントは4倍程度異なる。一方、同じ震源モーメントで比べれば、断層長が2倍程度異なる。
上記の関係式中のLとして、活断層の長さを用いた場合の地震モーメントの予測値と、活断層で発生した地震の地震モーメントの観測値とを1891年濃尾地震、1930年北伊豆地震、2011年4月11日福島県浜通りの地震で比較し、さらに1943年鳥取地震、1945年三河地震、1978年兵庫県南部地震で検討した。例は少ないが(4)を用いると地震モーメントが過小評価される傾向が明らかとなった。
地震本部の強震動予測では、いわゆる改正レシピが使われており、(3)によって地震モーメントが予測され、(4)のもととなる入倉・三宅(2001)の式から断層面積が推定されている。昨年9月に発表された国土交通省の日本海における大規模地震に関する調査検討会の報告書では、日本海の「最大クラス」の地震による津波想定において、入倉・三宅(2001)の式により地震モーメントが推定されている。一方、原子力発電所の津波推定では(1)が使われている。
日本の陸域およびその周辺の地殻内浅発地震(マグニチュード7程度以上)について、断層長L(m)と地震モーメントMo(Nm)との関係式をわかりやすさを重視して表現すると次のようになる。
(1)Mo = 4.37 x 1010 x L2 (武村, 1998)
(2)Mo = 3.80 x 1010 x L2 (Yamanaka & Shimazaki, 1999)
(3)Mo = 3.35 x 1010 x L1.95 (地震調査委, 2006)
(4)Mo = 1.09 x 1010 x L2 (入倉・三宅, 2001)
なお、入倉・三宅(2001)では地震モーメントと断層面積との関係式が提案されているが、厚さ14kmの地震発生層中の垂直な断層を仮定し(4)を導いた。断層の傾斜角を60度とした場合には、係数が1.09ではなく1.45となる。(4)と他との差異は顕著で、同じ断層長で比較すると、地震モーメントは4倍程度異なる。一方、同じ震源モーメントで比べれば、断層長が2倍程度異なる。
上記の関係式中のLとして、活断層の長さを用いた場合の地震モーメントの予測値と、活断層で発生した地震の地震モーメントの観測値とを1891年濃尾地震、1930年北伊豆地震、2011年4月11日福島県浜通りの地震で比較し、さらに1943年鳥取地震、1945年三河地震、1978年兵庫県南部地震で検討した。例は少ないが(4)を用いると地震モーメントが過小評価される傾向が明らかとなった。
地震本部の強震動予測では、いわゆる改正レシピが使われており、(3)によって地震モーメントが予測され、(4)のもととなる入倉・三宅(2001)の式から断層面積が推定されている。昨年9月に発表された国土交通省の日本海における大規模地震に関する調査検討会の報告書では、日本海の「最大クラス」の地震による津波想定において、入倉・三宅(2001)の式により地震モーメントが推定されている。一方、原子力発電所の津波推定では(1)が使われている。