[S-CG64] 海洋底地球科学

[SCG64-P04] インド洋ロドリゲス三重会合点かいれい熱水域における地震活動

*森 大湧¹、佐藤 利典¹、高田 裕能¹、今井 裕輝¹、野口 ゆい¹、河野 昭博¹、山田 知朗²、篠原 雅尚² (1.千葉大学・理、2.東大地震研)

キーワード：海底下の大河, 熱水地域, 地震活動, インド洋三重会合点

１．はじめに
　インド洋ロドリゲス三重会合点の北側、中央インド洋海嶺の第1セグメント東側には、かいれい熱水域があり、熱水には水素を多量に含むことが知られている。この熱水域の周辺では、蛇紋岩や斑レイ岩、かんらん岩などが採取されている。これらの本来深部にあるはずの岩石が浅いところにあるので、熱水に水素が豊富に含まれると考えられている。また、水素を活動源にするバクテリアや深海生物がこの熱水域に生息している。「海底下の大河」プロジェクト（海底下での熱水循環に関わる生物・地学的現象の解明研究）では、この地域を「水素の大河」と呼んでいる。
　かいれい熱水域において、どのように深部岩石が分布しているのか、また、熱水循環がどうなっているのかを調べるために、海底地震計の用いた地震活動と地殻構造の調査を行った。本講演では、地震活動について発表する。

２．観測・解析概要
　2013年1月27日から3月19日にかけて海洋研究開発機構、観測調査船「よこすか」を用いて自然地震観測を行った(YK13-01航海、YK13-03航海)。使用した海底地震計は全部で21台である。震源決定は、3次元速度構造を用いて震源決定のできるNonLinLocプログラム（Lomax, 2000）で行った。使用した3次元構造は、高田　他（2015、本大会）の構造を用いた。

３．結果
　約50日間の観測で5000個以上の微小地震を求めることができた。かいれい熱水域の北西1-3㎞のところに群発地震があり、海底直下（約3㎞）から深さ7-8㎞までのところに集中していて、そのメカニズムは正断層型であった。これは、この群発地震が正断層の活動を示していて、この断層が熱水循環と関係しているのではないかと示唆される。海嶺軸においても多くの微小地震が観測されたが、その深さは熱水域近くのものと比べると深い。中央インド洋海嶺の第1セグメントと第2セグメントの間のNon transform offsetでは、左横ずれのメカニズムの地震が発生しているが、震源分布の線状構造などは見られなかった。

謝辞
　観測に関して、海洋研究開発機構の観測調査船「よこすか」の船長と乗組員の方々の協力を頂きました。ここに記して感謝します。本研究は科研費新学術領域20109002の助成を受けて行われた。