14:45 〜 15:00
[AAS22-03] 乱流構造に基づくSGSモデルを用いた微気象場の数値計算手法の開発
キーワード:微気象, LES, SGSモデル, 乱流熱輸送, 集中豪雨, 大気汚染
熱対流や温度成層中の乱れによる熱や物質の拡散現象は、局地的な集中豪雨や大気汚染物質の高濃度化に係わる重要な現象の一つである。例えば、急速に発達する積乱雲の下で発生する集中豪雨は、その周りで活発に熱や水蒸気の交換が行われていると考えられるし、ヒートアイランド現象にともなう都市上空の循環流が大気汚染の高濃度化を招くとも言われている。したがって、非等温場における拡散現象の挙動や乱流構造を理解することは、集中豪雨の早期予測や大気汚染の緩和に役立つものと考えられる。また、近年、増加傾向にある集中豪雨は数km程度の範囲で1時間程度の間に発生しており、台風や前線の通過に伴う豪雨と比べて空間的にも時間的にもスケールの小さな現象である。このような現象を解析する有効な手段の一つとして、非等温場での乱流構造を捉えることができるLES (Large Eddy Simulation) が挙げられる。
そこで、本研究では微気象場における熱輸送や水蒸気輸送に対するLESに向けた数値計算手法を開発した。支配方程式は連続の式とナビエ・ストークス方程式、熱、水蒸気および雲水の輸送方程式であり、併せて雲水の生成、消滅を考慮するため凝結過程を導入した。本計算手法では複雑地形を扱えるように、これらの支配方程式を一般曲線座標系上で有限体積法によって離散化した。サブグリッドスケール (SGS) の乱流モデルにはKobayashi (2005) が提案した乱流構造に基づくCSM (Coherent-structure Smagorinsky Model) を適用した。この乱流モデルはある時間や場所ごとの乱流構造に応じてモデル係数を自動的に与えることができ、数値的な安定性にも優れるという特徴を持つ。
まず、乱流モデルの妥当性を調べるため、等温場でのチャンネル乱流およびバックステップ乱流の問題に適用し、実験値や他の乱流モデルの結果と比較した。次いで、本手法の熱輸送に対する妥当性を検証するため、レイリー・ベナール対流の数値実験を行い、レイリー数により熱伝達の機構が変化することを確認した。最後に、水蒸気輸送に対する妥当性を検証するため、Siebesma et al. (2003) が行った境界層積雲に対するLESの結果と比較した。この結果、いずれの場合も概ね妥当な結果が得られており、本手法の熱輸送や水蒸気輸送の解析に対する可能性が示された。
そこで、本研究では微気象場における熱輸送や水蒸気輸送に対するLESに向けた数値計算手法を開発した。支配方程式は連続の式とナビエ・ストークス方程式、熱、水蒸気および雲水の輸送方程式であり、併せて雲水の生成、消滅を考慮するため凝結過程を導入した。本計算手法では複雑地形を扱えるように、これらの支配方程式を一般曲線座標系上で有限体積法によって離散化した。サブグリッドスケール (SGS) の乱流モデルにはKobayashi (2005) が提案した乱流構造に基づくCSM (Coherent-structure Smagorinsky Model) を適用した。この乱流モデルはある時間や場所ごとの乱流構造に応じてモデル係数を自動的に与えることができ、数値的な安定性にも優れるという特徴を持つ。
まず、乱流モデルの妥当性を調べるため、等温場でのチャンネル乱流およびバックステップ乱流の問題に適用し、実験値や他の乱流モデルの結果と比較した。次いで、本手法の熱輸送に対する妥当性を検証するため、レイリー・ベナール対流の数値実験を行い、レイリー数により熱伝達の機構が変化することを確認した。最後に、水蒸気輸送に対する妥当性を検証するため、Siebesma et al. (2003) が行った境界層積雲に対するLESの結果と比較した。この結果、いずれの場合も概ね妥当な結果が得られており、本手法の熱輸送や水蒸気輸送の解析に対する可能性が示された。