日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 地球惑星科学のアウトリーチ

2015年5月24日(日) 11:00 〜 12:45 106 (1F)

コンビーナ:*植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、小森 次郎(帝京平成大学)、座長:植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、千葉 崇(筑波大学生命環境系)

12:15 〜 12:18

[G03-P03] 第15回地震火山こどもサマースクール報告

ポスター講演3分口頭発表枠

長谷川 嘉臣1、*小泉 尚嗣2普及行事 委員会3 (1.気象庁、2.産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門、3.公益社団法人日本地震学会)

キーワード:地震, 火山, こども, サマースクール, アウトリーチ

1.はじめに
 地震火山こどもサマースクール(ホームページ:http://www.kodomoss.jp/)は, 1999年から始まった.同サマースクールは,日本地震学会・日本火山学会・日本地質学会によって,重要なアウトリーチ活動の一つとして運営されている.過去の活動内容については,すべて,地震学会広報誌「なゐふる」に報告されている(なゐふる文庫こどもサマースクール報告: http://www.zisin.jp/modules/pico/index.php?content_id=2666).このプロジェクトの目的については,佐藤・他(2014)で詳しく述べられている.
 第15回地震火山こどもサマースクールは,長崎県の「島原半島世界ジオパーク」で2014年8月2-3日に開催された.同期間中は,台風の接近により悪天候であったが,小学校から高校生までの21名が,(今回のサマースクールのテーマである)「島原半島に隠された九州のヒミツ」に迫った.

2.プログラム
 参加者は,8月2日に,がまだすドーム(雲仙岳災害記念館)に集合した.その後,「チーム阿蘇」や「チーム桜島」といった九州の火山の名前の4つのグループに分かれた.開会式で,今回のサマースクールでこどもたちが挑戦するナゾや,2日目の最後に「九州ジオパークフェスタ」でナゾ解きの結果を発表することなどについて説明を受けた後,最初にがまだすドームの展望デッキからの景色を観察し,大地が動いた跡を探した.
 次はバスに乗って深江断層・布津断層・千々石断層へ向かった.千々石断層で野外観察を行い,深江断層・布津断層や千々石断層といった崖のような地形がどのようにできるのかを,こどもたちに考えてもらった.
 野外観察の後は実験を行った.コーラとメントスを使った噴火の再現実験,コンニャクゼリーと水風船を使った噴火前の前兆現象の再現実験,歯科印象材(歯型取りに使われるねんどのようなもの)を使った溶岩ドーム実験,ココアパウダーとグラニュー糖を使った野外観察で観た崖のような地形の再現実験などを行った.
 2日目の8月3日は,火山による災害を考える一日となった.午前中に,島原半島で222年前に起きた「島原大変」と23年前に起きた「平成噴火」について宿舎で講演を聴いた.その後,砂防指定地内の「定点」と呼ばれる場所に行き,1991年6月3日の火砕流で43名の方々が亡くなられたという説明を受けるとともに,亡くなられた方々に黙祷を捧げた.続けて,1991年9月15日の火砕流で全焼した旧大野木場小学校被災校舎,砂防みらい館,土石流被災家屋保存公園,雲仙岳災害記念館を見学し,平成噴火による被害について学んだ.
 午後は「九州ジオパークフェスタ」でのグループ発表である.「景色の中に見える“大地の動き”を探してみよう!」,「火山のふもとでどう暮らし,どう遊ぶ?」,「九州のここがすごいっ!」という3つのテーマについて,グループごとに発表を行った.発表ではこの2日間でこどもたちが学んだことが凝縮されており,すばらしい発表となっていた.

3.感想
 今回のサマースクールでも,こどもたちの「気づきの力」と「考える力」に終始驚かされた.こどもたちのこのような力が,今後のジオパークや地球科学の発展を支えていく原動力になることを期待している.

参考
佐藤明子・松原誠・中川和之・山田芳恵・松本翔太・平田泰之・藤間藍(2014),地震火山こどもサマースクールの目指すもの,日本地震学会モノグラフ,印刷中.
長谷川嘉臣(2014),第15回地震火山こどもサマースクール「島原半島に隠された九州のヒミツ」,日本地震学会広報紙「なゐふる」,99, 6-7.