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[HDS27-04] tFISHを用いた近地津波予測の性能評価-2011年3月9日三陸沖の地震(M7.3)を事例に-
キーワード:近地津波予測, 海底圧力計, 津波波形インヴァージョン
2011年3月9日,三陸沖を震源とするMw7.3のプレート境界型地震(2011年東北地方太平洋沖地震の最大前震)が発生した.これに伴って ,岩手県から宮城県の沿岸で50cmほどの津波が観測された. この地震が発生したとき,震源周辺には東北大学によって自己浮上式海底圧力計が9台設置されており,振幅10cmから30cm程度の津波波形が得られた.久保田(2012)は,この津波波形の詳細な解析により,この最大前震の地震時すべり分布を推定した.この観測波形は,地震発生後に機材を回収して得られたものであるが,仮にこうした観測データをリアルタイムで得ることができれば,沿岸津波の予測精度の向上に大きく貢献することが期待される.
そこで,本研究ではこの沖合津波観測データに対して近地津波予測アルゴリズムtFISHを適用して,沿岸の津波波形の予測を行った.沖合の波形データの逆解析により海面の初期波高分布を推定し,これに基づいて計算した沿岸における津波波形を実際に沿岸で観測された津波波形と比較して,予測精度を評価した.
その結果,地震発生6分後,最も早く沿岸に津波が到達する25分前に,第1波到達時刻は±2分以内の誤差で予測でき,観測波形の半分から2倍程度までの範囲で一致する予測津波波形を得ることができた. このように,地震発生後の短時間のうちに高い精度で津波を予測できたのは,震源(波源)域に海底圧力計が高密度で設置されていたために,地震発生6分後には波源域で発生した津波の主要な部分が観測点のいずれかに到達し,初期波源を精度よく推定できたためであると考えられる.
本研究の結果は,高密度の沖合観測網を構築し,得られるデータにtFISHアルゴリズムを適用することにより,規模は小さくとも,比較的高頻度で発生すると考えられるM7級の地震による津波を高い精度で予測することが可能となることを実証するものである.
そこで,本研究ではこの沖合津波観測データに対して近地津波予測アルゴリズムtFISHを適用して,沿岸の津波波形の予測を行った.沖合の波形データの逆解析により海面の初期波高分布を推定し,これに基づいて計算した沿岸における津波波形を実際に沿岸で観測された津波波形と比較して,予測精度を評価した.
その結果,地震発生6分後,最も早く沿岸に津波が到達する25分前に,第1波到達時刻は±2分以内の誤差で予測でき,観測波形の半分から2倍程度までの範囲で一致する予測津波波形を得ることができた. このように,地震発生後の短時間のうちに高い精度で津波を予測できたのは,震源(波源)域に海底圧力計が高密度で設置されていたために,地震発生6分後には波源域で発生した津波の主要な部分が観測点のいずれかに到達し,初期波源を精度よく推定できたためであると考えられる.
本研究の結果は,高密度の沖合観測網を構築し,得られるデータにtFISHアルゴリズムを適用することにより,規模は小さくとも,比較的高頻度で発生すると考えられるM7級の地震による津波を高い精度で予測することが可能となることを実証するものである.