日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM22] 地形

2015年5月26日(火) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、小口 千明(埼玉大学大学院理工学研究科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

18:15 〜 19:30

[HGM22-P01] 鈴鹿山脈最北部の石灰岩地域における地形と植生

*山内 啓之1海津 正倫2 (1.奈良大学大学院文学研究科地理学専攻、2.奈良大学文学部地理学教室)

キーワード:カルスト地形, 霊仙山, ドリーネ, 斜面, 植生

本研究では石灰岩が広く分布する鈴鹿山脈北部の霊仙山山頂周辺地域を対象として,対象地域におけるカルスト地形の特徴と植生分布との関係を把握するとともに,さまざまな形態を持つドリーネの分布およびその形態的特徴を明らかにし,ドリーネに発達する植生がどのような特徴を持つかに着目して検討した.
対象地域における山頂周辺には,0°〜25°の傾斜をもつ小起伏面が発達しており,山頂の北にあたるお虎ヶ池周辺では,13°以下の緩い斜面が広くみられる.この小起伏面では,代表的なカルスト地形であるカレンフェルトやドリーネがみられ,カレンフェルトは,尾根や急斜面によく発達している. ドリーネは0°〜10°の緩い斜面にみられる.ドリーネの分布は,谷線に沿って分布するものがほとんどである.しかし,面積の大きいものや平面形が円形になるものは,尾根線に囲まれた緩い斜面にみられる.また,対象地域に分布するドリーネの形状は一様ではなく,本研究ではそれらを4つのタイプに分けるとともに,壁面および底部と植生との関係について検討した.
霊仙山山頂周辺の植生は,斜面の傾斜と関係して分布している.緩傾斜面では草本が分布し,急傾斜面では木本が分布する傾向がみられた.これは,冬季の積雪やその後の残雪による影響が考えられる.しかし,傾斜のみで山頂周辺の植生分布が決定されるわけではない.山頂南の小起伏面縁辺部では,急傾斜面でありながら草本が分布する.
一方,本地域に見られるドリーネは,その内壁斜面の特徴からAタイプ,Bタイプ,Cタイプ,Dタイプの4つのタイプに分けることができた.これら,ドリーネ内壁の植生分布には,斜面方位の影響がみられた.北向き斜面のような日当りの悪い斜面では,特徴的な植生分布がみられた.しかし,内壁斜面で全体的に,もしくは部分的に急な斜面がみられるドリーネでは斜面の傾斜に対応した植生分布がみられた.
底部にある程度のひろがりのある平坦面をもつドリーネではドリーネ底部が積雪,残雪,降雨などによって土壌水分量が高くなることが考えられる.そのため,山頂周辺で優占するような植物種の生育に適さない環境となり,土壌が露出することが考えられる.