日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS32] 地球掘削科学

2015年5月24日(日) 09:00 〜 10:45 304 (3F)

コンビーナ:*斎藤 実篤(独立行政法人海洋研究開発機構)、道林 克禎(静岡大学理学研究科地球科学専攻)、廣野 哲朗(大阪大学 大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻)、梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、座長:梅津 慶太(独立行政法人海洋研究開発機構)、黒田 潤一郎(独立行政法人海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)

09:15 〜 09:30

[MIS32-02] アラスカ湾陸棚縁辺部(IODP Exp. 341 Site U1419)の過去6万年間の珪藻化石と氷床堆積物供給変遷

*須藤 斎1福村 朱美2今野 進3朝日 博史4A.C. Mix5M. Davies-Walczak5Exp. 341 Scientists IODP6 (1.名大・環境学・地球環境科学、2.北大・院・理学、3.九大・院・理学、4.韓国極地研究所、5.オレゴン大学、6.IODP Exp. 341 Scientists)

キーワード:IODP Exp. 341, 珪藻化石, 古環境変動, 氷河作用, アラスカ湾

2013年5月末~7月末にIODP第341次掘削航海が,アラスカ湾沿岸部に分布する後期新生代の高解像度堆積物記録を用いて造山運動や氷河消長と北太平洋気候変動の関連性を解明するために実施された.本掘削海域は,氷床分布域に極めて近いが,陸域の堆積・運搬・供給システムにほとんど影響を受けずに氷床や氷河に削剥された陸上物質が沿岸域に供給されるため,氷床の消長と海洋堆積環境の関係を知るのに最適な場所である.
本発表では,陸棚縁辺部(Site U1419)で掘削された更新世堆積物中に含まれる珪藻化石分析と物性分析,有孔虫化石による酸素同位体比変動解析結果の概要を発表する.本掘削点は,船上データから約10万年で200 mの堆積速度が見積もられている.珪藻化石群集には,海洋環境変動を示す種群だけでなく,沿岸~陸域に生息する種群や栄養塩変動を指標する休眠胞子等も含まれ,それらの産出量は大きな変動を示している.これらの変動は,古海洋環境変動,陸上氷床発達やそれに伴う削剥・供給量と堆積速度の変動,供給物質の粒度に影響を受ける間隙水量の変動,さらに,それに伴う珪藻化石の溶解など様々な要因を示している可能性がある.